理学部の岸本真教授が超巨大ブラックホールについての共著論文を出版

2019.12.10

成果

理学部宇宙物理・気象学科の岸本真教授は、チリ大学(チリ)、ストラスブルグ大学(フランス)、セロ・トロロ天文台(チリ)の研究者らと国際共同研究を行い、新しい共著論文をMonthly Notices of the Royal Astronomical Societyから出版しました。

掲載論文

題目:The polarized signal from broad emission lines in AGNs
著者:P. Lira, R. W. Goosmann, 岸本真, R. Cartier
掲載誌:Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, 491, 1--12(2019年11月15日オンライン出版)

また、以下からプレプリント版のダウンロードが可能です。
https://arxiv.org/abs/1906.08718

背景

宇宙に遍く存在する銀河の中心部には太陽の100万倍よりも重い超巨大ブラックホールが普遍的に鎮座していることが知られています。こうした超巨大ブラックホールの一部は、激しい質量降着によって極めて明るく輝いており、活動銀河核と呼ばれています。岸本教授は、GRAVITYという装置を用いた国際共同研究チームに参加し、近赤外線の干渉を使って活動銀河核の周辺環境を精力的に研究されています。こうした活動銀河核の周辺物質について調べるために、放射の偏光を測る観測が強力なツールとして使われているのですが、こうした観測データを理解するためには理論的なモデル化が不可欠です。

研究概要

この論文で岸本教授らのグループは、モンテカルロ法という手法を用いて活動銀河核からの放射の数値計算を行いました。過去の研究では様々な近似を使った解析的な手法を用いていたのですが、岸本教授らの方法ではこうした仮定を用いずに現実に近い計算を行なっている点が大きな特徴です。こうした計算の結果、活動銀河核のごく近傍のガスがブラックホールの周りを単に回転しているだけでなく、速い速度で外側に向かって噴き出すように動いていることを示しました。今後もこの計算手法を用いて新しい成果を報告予定です。

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