荒木望遠鏡がとらえたボリソフ彗星

2019.11.11

2019年11月9日の未明に、京都産業大学 神山天文台の荒木望遠鏡がボリソフ彗星 (2I/Borisov) の姿を捉えました。ボリソフ彗星は、2019年8月30日にアマチュア天文家のG. Borisov氏により発見された史上2例目の恒星間天体です。今回、本学理学部宇宙物理・気象学科の小牧誠人さん(2年次)と加藤晴貴さん(4年次)により、荒木望遠鏡に搭載されているナスミスイメージャー(可視光撮像装置)でボリソフ彗星を観測し、撮影に成功しました。

今回の撮影には天体測光観測用のICフィルタ(有効波長810nm、半値幅150nm 『理科年表』より)を用いており、彗星から放出されたダストを見ています。得られた画像を確認すると、うっすらですが彗星の「尾」があることがわかります。史上初めて観測された恒星間天体であるオウムアムアには、この画像のような「尾」は見られませんでした。

恒星間天体は、その軌道から太陽系外から来た天体であると考えられており、太陽系外の物質を直接調べることができる非常に貴重な天体です。ボリソフ彗星は現在太陽に接近しつつあり、2019年12月20日頃に地球から最も明るく見えると予想されています。それでも15等級台(吉田誠一氏のホームページより)ととても暗く、見える時間も明け方のため、神山天文台の天体観望会においてボリソフ彗星を見ることは難しい状況です。

図.日本時間2019年11月9日未明に荒木望遠鏡で撮影したボリソフ彗星(中心の円に近い天体)。線状に伸びているのは全て恒星です。線状に伸びているのは、恒星の間を移動してゆくボリソフ彗星に合わせて望遠鏡を追尾させて画像を撮っているためです。(クレジット:小牧誠人、加藤晴貴)
望遠鏡 :京都産業大学 神山天文台 荒木望遠鏡(口径1.3m)
観測装置:ナスミスイメージャー(冷却CCDカメラ1台、波長:Ic-band)
露出時間:600秒 x 6フレーム
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