理系分野の高大接続授業「KSUサイエンス講座」を実施

7月29、30、31の3日間、京都産業大学附属高等学校 KSUコース理工系 2年生の生徒60名を対象に、理系分野の講義や実験を行う「KSUサイエンス講座」を行いました。
この講座は京都産業大学のキャンパスで、理学部、情報理工学部、生命科学部の教員が高大接続授業の一環として毎年実施しているもので、理系学部進学予定の附属高校の生徒が進路選択を踏まえて2学部を選択し講座を受講しました。

情報理工学部では、川村 新 教授が「コンピュータ設計入門」と「音声処理システム設計入門」の講義と実験を行いました。前半の「コンピュータ設計入門」では2進法を用いて計算プログラムを設計し、集積回路設計の基本を学びました。後半の「音声処理システム設計入門」では音声処理システムを制作し、センサーとの通信や音量の制御を学びました。また、バイノーラルマイク(ステレオ録音の一種で、鼓膜に届く状態で音を記録する方式)による録音を行い、リアルタイムの音声処理システムを体験しました。

生命科学部の講座では、前半に木村 成介 教授と本橋 健 教授が「植物のDNAを見てみよう!」をテーマに植物からDNAを取り出す実験を行い、DNAを実際に目で見て観察しました。午後からは、津下 英明 教授と中村 暢宏 教授が「遷移金属の錯イオン形成による呈色反応とその応用」をテーマに錯イオン形成による呈色反応を応用したたんぱく質の定量実験を行ったほか、ベロウソフ・ジャボチンスキー反応(遷移金属の錯イオン形成による呈色反応を利用した振動反応)実験を通して生物のリズム形成や形態形成が化学反応によって制御されていることを確認しました。

理学部の講座では、前半の「数学」分野の時間に、村瀬 篤 教授の「素数の不思議」、山田 修司 教授の「情報数学のマジック」をテーマにした講義を受講し、大学数学における証明や2進数と排他的論理和について学びました。
後半の「物理」分野の時間には6つのテーマから希望のテーマを2講座選択し、それぞれ実験や講義を体験ました。
伊藤 豊 教授の磁場に関する現象から『力の法則』や『個体物性』について学ぶ「磁力」や、下村 晋 教授の「レーザーと簡単な光学素子を使って調べる光の性質」で、光の偏光や干渉・回折現象について調べ、コンピュータ解析を行ったほか、鈴木 信三 教授の「気体の断熱膨張による温度変化」では、熱力学第1法則の原理(断熱膨張)が雲のできるメカニズムであることを学びました。
また、新山 雅之 准教授の「放射線とその遮蔽」では、放射線検出器を使用し環境放射線を測定しその存在を体感し、佐川 英夫 准教授の「気象物理学実験-入門編」では、『状態方程式』、『乾燥断熱減率』、『静水圧平衡』などの気象物理学の基礎論理を学びました。
諏訪 雄大 准教授の「紙と鉛筆で宇宙をひもとく」では、数学や物理の論理を応用して『宇宙空間にあり触れることのできないもの』の大きさや重さを紙と鉛筆だけで測定しました。

生徒からは「数学の不思議がすべて数字で説明できることが魅力的だと感じ、飽きずに受講することができた」「天気や温度をエネルギーの視点から数式にたてられることがとても興味深いと思った」「糸状のDNAを見ることができて感動した」「2進数を使ったプログラミングが楽しかった」などの感想が寄せられました。

実施内容

情報理工学部(7月29日)

  • 新實 治男 学部長 学部紹介
  • 川村 新 教授 「コンピュータ設計入門」、「音声処理システム設計入門」

生命科学部(7月30日)

  • 寺地 徹 学部長 学部紹介
  • 本橋 健 教授・木村 成介 教授「植物のDNAを見てみよう!」
  • 津下 英明 教授・中村 暢宏 教授「遷移金属の錯イオン形成による呈色反応とその応用」

理学部(7月31日)

数学

  • 村瀬 篤 教授「素数の不思議」
  • 山田 修司 教授「情報数学のマジック」

物理

  • 伊藤 豊 教授「磁力」
  • 下村 晋 教授「レーザーと簡単な光学素子を使って調べる光の性質」
  • 鈴木 信三 教授「気体の断熱膨張による温度変化」
  • 新山 雅之 准教授「放射線とその遮蔽」
  • 佐川 英夫 准教授「気象物理学実験 – 入門編」
  • 諏訪 雄大 准教授「紙と鉛筆で宇宙をひもとく」
2進法を用いて簡単な電卓機能をプログラミングに挑戦
植物からDNAを抽出に挑戦
帽子の色あて当てゲームで2進数と排他的論理和について学習
液体窒素を使って磁石が起こす物質の相転移について学習
雲の発生のメカニズムについて実験を通して学習
光の偏光や干渉・回折現象について学習
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