「京都産業大学文化学部を『知る・聴く・観る』」
第1回文化学部講演会を開催しました

2019.04.24

2019年度、文化学部では「国際的視野のもと京都から世界へ発信する文化学部」を目指し、「京都産業大学文化学部を『知る・聴く・観る』」をテーマに、3回シリーズでのイベントを開催しています。
4月24日(水)に実施された第1回目は、深沢 克己 教授(文化学部国際文化学科)が2018年12月に日本学士院新会員に選出されたことを記念し、「自己発見としての歴史研究—インド更紗から秘密友愛団まで」をテーマに、ご専門の西洋近世史研究をとおして第一線で進めてこられた学者としての歩みについて、講演されました。
当日は、天候不良にもかかわらず、5号館5303教室に文化学部の学生・教員を中心に100名以上が来場しました。
深沢 教授は、はじめに自身の研究が4つの課題から構成され、最初の課題は国際商業史、おもにレヴァント貿易と捺染技術の東西伝播だったと説明されました。インドの伝統技術である茜染めの染色技法が、ヨーロッパに伝えられた経路は、喜望峰・大西洋航路なのか、それともペルシア・レヴァント隊商路なのか、研究者のあいだで長らく論争がありました。しかし深沢 教授は、マルセイユでの史料発見によりレヴァント隊商路の役割を解明したので、フランスでは歴史家だけでなく、古物商の間でも名が知られようになったと話され、御自身の所有する240年前の貴重な更紗も展示されました。

240年前の更紗

フランス
インドネシア
先生はさらに、自分の関心対象が、港町の歴史から宗教社会史とフリーメイソン史へと拡張されたと述べて、それぞれの分野での成果について概要を説明されましたが、ときにユーモアも交えて、先生の人柄があふれる話しぶりに、来場者たちは魅了されました。
まとめとして、以上4つの課題は一見相互に無関係に見えるが、そこには関心の連続性があり、また近代主義的歴史観の批判として一貫性をもち、さらに「他者性」への眼差しという共通の内面的動機が伏在していた、という自己発見の経験を語られました。
最後に、人生において一番大切なものは隠された無意識の領域にあり、わたくしたちは見えない糸に導かれてそれに到達するのだ、と述べて来場者に感銘を与えられました。
講演終了後、日本学士院会員に選出されたお祝いに、井尻香代子 文化学部長から花束贈呈が行われると、会場から拍手が沸き起こり、和やかな雰囲気につつまれました。
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