理学部宇宙物理・気象学科 談話会「重力波観測とデータ解析」を開催しました

2018.10.31

理学部宇宙物理・気象学科 談話会「重力波観測とデータ解析」を開催しました。

10月31日(水)、理学部宇宙物理・気象学科談話会(※)として、大阪工業大学の真貝 寿明 教授による談話会「重力波観測とデータ解析」が行われました。

アメリカのLIGOグループによって2015年9月に世界で初めて重力波が直接検出されました。現在まで既に6例の重力波の直接検出が報告されており、重力波はもはや理論的研究の対象にとどまらず、可視光などの重力波やニュートリノなどの素粒子同様に、観測天文学の一端を担う強力な観測手段と言えます。そして従来の天文学に、新たに重力波を加えたマルチ・メッセンジャー天文学は、天文学の新たな地平を開きつつあります。

真貝教授はやさしい語り口で、重力波検出の原理から、どのようにして検出の感度が決まるのか、そして観測された波形からどのような物理量が決まるのか、そして実際に観測された重力波の解釈について、非常にわかりやすい言葉を選びながら、そして丁寧に説明をしてくださいました。また、真貝教授自身のアイデアである、リングダウン期(ブラックホール合体最終段階)の重力波波形のみを利用して、ブラックホールの質量や回転といった本質的な物理量を導き出す新たな手法についても紹介をしてくださいました。この手法は、これまでの解析手法とは全く異なる手法で、重力波天文学の新たな可能性を感じられる、非常に興味深いものでした。最後に、重力波検出に関して現在進行中のプロジェクト、更には様々な将来計画についても紹介があり、「まだまだやるべき事は沢山あるので、こういった研究に興味のある人は、今からでも是非新規参入して欲しい」と若い学生たちの研究意欲を後押しする話もしてくださいました。

談話会には教員はもちろんのこと大学院生、そして学部生の参加があり、談話会に参加した学部生からは、「難しそうな重力波の話だと思っていたが、話が非常に分かりやすかった。」「重力波検出やブラックホールの合体というニュースは目にしていたが、実際にどのような観測をして、その観測からどのようにしてブラックホールの質量などを求めるのかという、解析の流れが具体的に分かって、非常に面白かった」などといった声が聞かれました。また談話会後しばらくの間は真貝教授を交えて、今後の重力波検出に関する議論が盛んに行われていました。

(※)談話会は、学内教員や研究実績のある研究者を招聘して定期的に講演会を行うことで、理学の最先端の研究内容に触れ、研究意欲の促進、教育・研究の質的向上を図ることを目的として実施しています。参加は、教員だけでなく、学部生、大学院生、その他一般の方々も可能です。

身振り手振りを交えながら分かりやすく説明をされる真貝教授
談話会終了後、真貝教授を交えて重力波観測について熱心に議論をしている様子
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