神山天文台 平成30年度第1回天文学講座を開催

2018.05.19

2018年5月19日(土)に神山天文台 河北 秀世 台長による天文学講座第1回「彗星と海、そして生命」を神山天文台地下一階ホールにて開催し、一般参加者や学生、教職員など35名が参加しました。

講演では、宇宙誕生から現在までの歴史と、太陽系の誕生以降の地球における生物進化の歴史から始まり、現在の生命につながる起源が海底の熱水鉱床付近にあるのではないかという最近の研究が紹介されました。地球の海が生命発生に重要な役割を果たすことから、その起源が重要であるとのことです。

現在でも地球の海の起源は解明されていませんが、彗星のような氷を多く含む天体が起源ではないかという説があり、本講演では彗星起源説について詳しく紹介がありました。彗星が地球の海の起源ではないかと言われているのは、彗星に含まれる水(H2O)のうち、重水(HDO)という特別な水が含まれる割合が地球の海と彗星の氷で似ているためです。仮に彗星がたくさんの水を太古の地球に持ち込んだならば、彗星に含まれる他の様々な有機物質(その中には、生命に欠かせないアミノ酸の一種が既に発見されている)が地球にもたらされたことが考えられ、それらを材料として、海底熱水鉱床のような場所で生命が発生した可能性があることが説明されました。

しかし、現在の科学では、有機物質などからどうやって「生命」と呼べるものが誕生したのか、その答えを出せていません。将来、いつか天文学や惑星科学、生物学などの学問がその垣根を越えて融合し、生命誕生の謎が明らかになる日が楽しみです。

参加者からは「彗星の定義、組成&生命の起源についての概要がよく理解できた」「天文学の話だけではなく地質の話もあって面白かった」等、様々な声が寄せられました。

講座終了後は、河北台長をはじめ、本学研究員や学生とお茶を飲みながら歓談するアストロノミー・カフェが開催され、終始和やかな雰囲気のなか、交流が図られました。

河北台長の話に耳を傾ける参加者
アストロノミー・カフェの様子
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