理学部宇宙物理・気象学科 談話会「多色トランジット観測で迫る太陽系外惑星の姿」を開催しました

2018.01.10

理学部では外部講演者の方による談話会を定期的に開催しています。1月10日には、国立天文台岡山天体物理観測所の福井暁彦特任専門員により、太陽系外惑星の探査と観測的研究の現状の紹介、そして福井氏らのグループが開発した可視3色同時撮像カメラMuSCATで得られた観測データに基づく研究成果についての発表が行われました。
ケプラー宇宙望遠鏡の活躍によって、4000個以上のトランジット惑星、ならびに惑星候補が発見され、太陽系外惑星の普遍性と多様性が明らかになってきました。しかし、発見された惑星は太陽系より遠方にあるため、個々の惑星についてその物理的性質を調べることが困難なため、現在はより近くにある惑星探索が進行中です。しかし、その発見を確たるものにするためには、多色での高精度観測が不可欠となります。そのために福井氏らによって、岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡向けに開発された可視3色同時撮像カメラMuSCAT、ならびに、スペイン・カナリア諸島の152cm望遠鏡向けに新たに開発された可視4色同時撮像カメラMuSCAT2の紹介が行われました。また、これらの撮像カメラによって観測された系外惑星のトランジット現象から、系外惑星の多様な情報を引き出すことのできることが紹介されました。特に、多色同時撮像データを用いることで、系外惑星の大気の様子、例えば大気中の雲量を推定することが可能であることなど、非常に興味深い研究成果の紹介が行われました。
談話会には学科教員はもちろん、2年次生から大学院生まで様々な学生が参加しており、宇宙物理学分野で最も注目されている研究分野である太陽系外惑星の観測的研究の現状や、福井氏らのグループによる研究成果の紹介に熱心に耳を傾けており、学部学生も含めて多くの参加者から質問がありました。決して大きいとは言えない口径の望遠鏡の観測によって明かになった、興味深い研究成果の数々は、学生たちが今後の学業・研究生活を送るにあたり、大いに励みとなったことと思われます。
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