京都文化学科「おもてなし文化論」で「たん熊本家」女将 栗栖 晴子氏が講義

2017.11.29

京都文化学科では、「おもてなし文化論」(担当:吉澤 健吉 教授)を秋学期に開講しています。この授業では、茶道、華道、老舗旅館、料理屋、ホテルなど各界の第一線で活躍する方々をゲスト講師として招き、歴史と伝統に育まれた「京都のおもてなし」について生きた教訓を学びます。
冊子を見せながらおもてなしについて説く栗栖氏
11月29日(水)は、「たん熊本家」女将(おかみ)の栗栖 晴子氏をゲスト講師にお招きしました。「たん熊本家」は初代・熊三郎氏が創業し、食材を活かした「もんもな料理」とお客様一人ひとりへの温かいおもてなしで、長い間有名人をはじめ多くの人に愛されています。
講義はまず、栗栖氏がご自身の生い立ちから紹介。老舗料亭とは縁のないピアノの先生をしていたところ、ご主人との結婚を機に女将修業を開始。最初は着物の着方や、料理の道具の名前もわからなかったものの、大女将の指導を受けるうち、今ではすっかり女将業も板についたそうです。
美味しい料理を作り、提供するのはご主人の仕事。来店されたお客さまに気持ちよく過ごしてもらえるようにするのは女将の仕事であると説く栗栖氏には、お客様をおもてなしするにあたり、2つの手順があるといいます。まず1つ目は、事前に電話予約をいただいた際に、どのような年齢層の方が、どのような目的でお食事にいらっしゃるのかを詳しく聞き取り、その情報をもとに、お花や掛け軸、またお部屋を選び準備をするそうです。2つ目はお客様が実際に来店されてからおこなうおもてなしです。お客様のその日の様子に合わせて、ご挨拶のタイミングや時間、また話題も変えるそうで、話題作りのため、新聞や雑誌には必ず目を通すとのこと。
熱心に聞き入る受講生
受講生は徹底した準備とおもてなしに驚いていましたが、他にもお客さんのために女将おすすめのお店をカテゴリーごとに分け、一覧にした冊子を実際に見せてもらうと受講生の間から感嘆の声があがりました。
また、最近増えた海外からのお客様のために、イスラム教やユダヤ教など宗教独自の食文化に対応することはもちろん、女将自らがその国の言葉で挨拶をし、積極的に接点を持つことを大切にしているそうです。ひとりひとりのお客様の気持ちに寄り添うおもてなしこそが、「たん熊本家」が多くの人に愛され続ける理由でもあるのでしょう。
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