平成29(2017)年度 春学期人権教育啓発講演会で京都教育大学名誉教授 桶谷 守氏が講演

2017.07.12

京都産業大学では、人権教育や人権啓発を目的として、人権問題に関わる様々な事柄について、知り考える機会を提供するため、本学学生・教職員、一般の方を対象に「人権教育啓発講演会」を年2回開催しています。
7月12日(水)は、「今日のいじめ問題から見えてくるもの ~人は何故 人をいじめるのか?いじめは、どうして人を追い込むのか?~ 」と題し、京都教育大学名誉教授 桶谷 守(おけたに まもる)氏にご講演いただきました。
当日の講演会では、今日的ないじめの現状(子どもの世界で何が起こっているのか)を踏まえ、いじめに対して、参加者と共に考え、どう対処すべきなのかを考えるきっかけとなればとの言葉で講演を始められました。
いじめに関する認知件数(全国的な統計)を基に、実際に起こった中学・高校生のいじめについての事例を報告されました。いじめは、日常の遊びの延長線上で起こることが多く、子ども同士で遊んでいる、ふざけているなど、周りからみると仲のよい友達同士と映り、いじめが見えにくいという現状があります。いじめられる子どもは屈辱を感じていますが、いじめを訴えないのは、自分が惨めなことを認めたくないという思いから、自ら話さないケースもあると説明をされました。
いじめの考え方は、「人間関係の問題」であり、両者間のパワーのアンバランスの中で起こるとのこと。また、人はやさしさ、思いやりなど肯定的な情動だけではなく、嫉妬、攻撃性など否定的な情動も持ち合わせているので、いじめは人間の本質的な問題であると説明されました。
人の失敗を面白がったり、攻撃性を持つ自分がいる、このような情動が私たちの心の中に存在することを自覚した上で、その攻撃性をいかにコントロールするのかが教育であると説かれました。いじめ問題に学校でどう取り組んでいくかについては、人間一人ひとりが「かけがえのない存在」であると思う気持ちが非常に大事であるとも話されました。
最後に、いじめをなくすため、それぞれが努力すること、また、子どもの間でいじめが起こっていれば、そのことをいち早く発見すること、また、いじめられている子どもが相談できる場所があれば、最悪の結果はまぬがれるだろうという言葉で締めくくられました。

いじめ問題について真剣に聞き入る参加者
事例を交えて語る 桶谷 守氏
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