法学会春季講演会「お金がなければ裁判は受けられない? 法律扶助って何だ!」開催

2017.06.13

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トピックス公開講座法学部

京都産業大学法学会春季講演会が6月13日、法テラス京都所長 松枝 尚哉先生を講師に招き、神山ホールで開催されました。

松枝先生は、2015年から日本司法支援センター京都地方事務所(法テラス京都)の所長としてご活躍されています。法テラスの活動を多くの人に知ってもらうこともそのお仕事の一つでもあり、当日はパンフレットも配布していただきました。
講演では、その中心的な業務の1つである法律扶助について、法律学の勉強を始めて間もない1年生にも理解できるよう、裁判手続と弁護士の関わりから説き起こしてくださいました。大学ではいくつもの講義に分かれている内容を短い時間で概観し、これからの学修にも役立つものでありました。また、実際に裁判で弁護士に依頼するには費用がかかり、その費用を保障することで裁判を受ける権利が実現されることを知るという、講義での理論と実務を結ぶ話題を考える機会となりました。
ご講演では、刑事事件における法律扶助、民事事件における法律扶助、そして法テラスの活動内容という3つのテーマについて話されました。
まず、刑事事件では、裁判が始まる前の被疑者の段階から弁護士をどのように探すのか、その着手金、報酬、実費と最低でも40~50万円かかる費用をどのようにして払うのかが問題となります。知っている弁護士がいない、自分の収入では費用を負担できないという人のために国選弁護人という制度があり、そのなかで法テラスが中心的な役割を果たして裁判を受ける権利を保障していることを、少年事件の付添人も含めて、具体的に説明されました。
次に私人間のトラブルである民事事件における法律扶助に話が移りました。法テラスでは、トラブルの対処についても、弁護士による無料の法律相談を設けています。裁判をする場合の弁護士費用も安い基準で決めており、立て替えてくれる、代理援助もあります。着手金、実費を分割払いで返すこともできます。裁判所に払う手数料(訴訟費用)についても、支払能力がない人には法テラスが扶助をすることで、裁判が必ず進むこととなります。
最後に、ご講演のテーマである法律扶助の中心となる法テラスの様々な活動について述べられました。現在では、社会が複雑になり、昔では考えられない紛争に人々が巻き込まれるようになってきています。法テラスでは、刑事と民事の扶助のほか、情報提供業務としてサポートダイヤルによせられた様々な疑問に答えています。トラブルが法律問題であることに被害者が気づくために、気軽に相談でき、弁護士に頼む場合などの情報を提供しています。最近では犯罪被害者支援も行なっています。 
裁判を受ける権利、紛争解決する手段があっても利用できなければなりません。利用できるためにすることが法律扶助の役割であることを学ぶことができました。

講師:松枝 尚哉 法テラス京都 所長
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