文化学部 藤倉ゼミの学生が学会発表

2016.11.20

3年次よりアメリカの絵本作家、センダックの研究を行ってきた中西 紅葉さん(文化・4年次)が、日本比較生活文化学会の研究発表大会(11月19日・20日 日本大学三島キャンパスにて開催)において、藤倉 恵子 教授とともに学会発表を行いました。
取り上げたのは、センダックの『かいじゅうたちのいるところ』です。英単語わずか322語の作品ながら、世界で2千万部を売り上げ、絵本としては異例の人気を博した現象について、中西さんは、アメリカ文化との関連でとらえようとしました。この作品が発表された1963年当初、親や評論家からは、物語として描かれているのは、親による子どもの「遺棄」(desertion)であり、これは、子どもたちを不安に陥れるものだとする見解が強く寄せられたことに注目したのです。そして、a.アメリカにおいて児童書評論が1940年代に社会的に成立するまで、その役割を長きにわたって担っていたアメリカ図書館協会を中心とした、社会から庇護すべしとした子供観がまだまだ根強かったこと、b.この作品発表の前年に、アメリカのケンプ博士が、世界で初めて医学界で取り上げるかたちでアメリカ社会における児童虐待の現実を顕在化させたこと、この2つが絡み合った社会背景を指摘しました。
当日は、教員と学生のコラボの発表スタイルと相まって、明快で興味深い発表であったと強い印象を与えることができたようです。学部生が学会において発表できたことは栄誉なことであり、今後のゼミばかりか、文化学部全体の励みになることが期待されます。
学会発表を行う中西さんと藤倉教授
アメリカの絵本作家センダックの紹介
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