賀茂川筋名細絵図  

写本彩色 江戸時代中期(1708〜1711年)
折本1帖 18.7×253.7cm (折りたたみ18.7×9.2cm)

 絵図は「川方勤書」と表裏一体となっていることから、賀茂川の河川管理を目的に描かれたことがわかる。絵図の範囲は源流から七条通までの間で、絵図には「川方勤書」に記載のある元禄11年(1698)に改修された後の石積護岸や蛇篭、水刎、井口などとともに、賀茂川周辺の寺社や屋敷なども詳細に描写されている。さらに護岸等の延長など、川方が鴨川を管理にするのに必要な情報の記載がある。
 制作年代については、荒神口の右岸下流に松平豊後守屋敷の記載があることから、松平資俊が豊後守であった宝永2年(1705)から宝永8年(1711)に絞られる。さらに、宝永5年(1708)の大火で焼失した立本寺等の記載がないことから、絵図の制作年代は1708年から1711年の間であることがわかる。

(引用・参考)
鈴木康久編(2022)『淀川水系 河川絵図集成』一般財団法人近畿地域づくり研究所
鈴木康久・山崎達雄(2021)「江戸期における鴨川の堤防に関する研究 『川方勤書』・『賀茂川筋名細絵図』を中心に―」『京都産業大学日本文化研究所紀要第二六号』京都産業大学日本文化研究所