大川便覧

木版彩色 天保14年(1843年) 高島春松画
折本1帖   18.6×430cm(18.6×10.2cm)
出版 大坂 : 赤松九兵衞 京都 : 竹原好兵衞
※ 題簽の書名: 乗陸必携大川便覧 : 全扉に「天保己亥/初秋發梓」、刊記に「松寉堂藏」「天保癸卯年九月再正」とある。
※ 印記: 「富岡氏蔵書記」「残花書屋」、他

 天保14年(1843)9月再生の「大川便覧」は、大坂中之島から伏見港までの川筋を描いた携行用の折本である。川沿いの村名、国境、社寺、名所古跡だけでなく、「川々の土橋飛こえまで図にあらハし樋ハこと/\く印をつけ、磁石をふり」描いている。さらに船着場間の距離や渡し場の川幅なども記されている。巻末には、過書座の船番所が大阪・枚方・橋本・淀・伏見・吹田・神崎・尼崎にあること、過書座船が877艘、うち天道船が577艘、三十石が171艘などとある。また淀二十石船は507艘、伏見船は200艘で船番所が伏見・枚方・大坂にあったことが記される。加えて、「伏見豊後橋ヨリ大阪川口マテ」の淀川の長さが「十三リ四丁十三間」(約50q)、「淀水垂ヨリ大阪京橋マテ」の水勾培が「八丈四尺五寸五分」(約25m)であったことが記されている。
 本図には、文人画家の富岡鉄斎と推察される蔵書印と、弘道館教授頭取代理、彰考館権総裁であった青山鐵槍の蔵書印がみられる。

(引用・参考)
鈴木康久編(2022)『淀川水系 河川絵図集成』一般財団法人近畿地域づくり研究所