伏見川之圖

写本彩色 江戸時代中期 
折本一鋪 39.6×198.3cm (折りたたみ26.6×198.3cm)
※ 書名は付箋による

 北は伏見の豊後橋(現・観月橋)から、南は大坂の天満橋・天神橋周辺までを描いた絵図である。三川合流部から下流の堤外地には、大小合わせて65ヶ所の流作の他、アシと藪が描かれている。流作の内訳は、右岸が25ヶ所、川中に位置するものが24ヶ所、左岸が16ヶ所となっている。描かれたものの多くは流作としか表記されていないが、北側に位置する4ヶ所の流作については「流れ作 八幡領」「流れ作 下野領」「流れ作 延命寺領」「流れ作 山崎領」と所有者の情報も記されている。貞享元年(1684)の土砂留令によって川筋・河原での新規の新田開発が禁止されたことから、三川合流部から下流における流作の分布実態を把握するために制作されたと推察される。また、豊後橋の下流左岸に河川があり、「元宇治川」との表記も見られる。
 制作年代は、享保7年(1722)から享保14年(1729)に開発された葭島新田の場所に元宇治川を描いていることから、前述の土砂留令が発布された1684年から葭島新田が開発される1729年の間に制作されたと推察される。

(引用・参考)
鈴木康久編(2022)『淀川水系 河川絵図集成』一般財団法人近畿地域づくり研究所