研究室テーマ一覧
※在学生の方は、シラバス・募集要項を確認してください。
(2019年5月現在)
数理科学科
数理ファイナンス
研究室では数理ファイナンスの基礎を学びます。離散時間上で定義される金融市場モデルを用いた解析を学んだ後に、連続時間上で定義される金融市場モデルを用いて、ブラック・ショールズ・マートンによるデリバティブの価格付け理論を学びます。
数学と音楽
音楽には、数学の言葉を用いることで、うまく説明できるところが意外に多くあります。研究室では、関連する書物を読むことで、そういった目で音楽を見直すことからはじめ、卒業課題では、簡単な作曲をして、数学の目で音楽の分析をします。
微分位相幾何学
空間内の曲線や曲面について、微分を使ってその曲がり方を捉える微分幾何という分野があります。一方、図形の大雑把な形あるいは骨格だけを気にする位相幾何という分野があります。これら2つの考え方を融合すると何ができるかということを研究します。
リーマン面の変形理論
曲面の変形空間であるタイヒミュラー空間をさまざまな見地から研究しています。たとえばg(>1)人乗りの浮き輪の表面は3g-3個の複素パラメータ空間の中に実現されます。この空間は複素解析、位相幾何、代数幾何など多くの分野と関わりを持つ興味深い対象です。
確率解析
交通事故の数のようなランダムな量を確率変数といい、時間とともに変化する確率変数を確率過程といいます。確率過程を確率積分や確率微分方程式など、確率的な概念を用いて調べていくことを確率解析と呼びます。この確率解析を使って、主にマルコフ過程の性質を研究します。
多重ゼータ値、整数論
ゼータ値とはおよそ、整数のべき乗の逆数の無限和を指します。その研究はオイラーやリーマンにはじまり、今では整数論のみならず、代数・解析・幾何・数理物理など多彩な方面から研究されています。崇高な理論的美しさがたくさんちりばめられています。
可換環論、環の表現論
「環」と呼ばれる数学的対象を研究しています。例えば、x^2+y^2=1をみたすx,yの集合は円となりますが、考える方程式を変えることでさまざまな図形が現れます。各方程式に対して付随する環を考えることができ、環を調べることで図形の性質を理解することができます。環と図形の間にある不思議な関係を理解するのが目標です。
パターン形成の数理解析
結晶成長や川の流れのように、自然界には時々刻々変化するパターンが多くみられます。このような時間変化を記述する微分方程式について、力学系理論とシミュレーションによる解析を行い、パターン形成のメカニズムを探っていきます。
楕円関数
x軸とy軸に関して、対称な楕円上の2点(0,b)と(x,y)を結ぶ弧の長さsはxの関数になり、逆関数x=f(s)は楕円関数と呼ばれている関数に属しています。x, sは実数値ですが、複素数に拡張できることが知られています。その方が見通しのよい理論を構築できます。楕円関数の性質を調べていきます。
情報・計算の数理とそこから生まれる新しい数学
情報・計算のための数理的基盤について研究します。主に使用する数学は数理論理学と圏論です。またそこから生まれる新しい数学が代数・幾何・解析といった他の数学の分野や物理学にも新しい視点を与えており、それらについても研究します。
代数学とその応用
整数や群などの代数的対象について、応用も含めて学びます。特に素数に関するさまざまな不思議な性質や予想(素数の分布、巨大素数など)について、コンピュータによる実験も行いながら研究します。
微分方程式の数学解析
微分方程式は17世紀にニュートンなどによって、天体の運動などの物理法則に従って運動をする物体の運動を記述するために生み出されました。現在では、微分方程式を用いて、物理、化学、生物や社会などの多くの現象が記述されています。
確率論・確率過程論
偶然に支配される現象を数学的に解析するのが確率論という分野。研究室では、ルベーグ積分論に基づく確率論の基礎概念を学び、それによってランダムネスの累積から法則性が現れるという極限定理に数学的厳密な定式化と証明を与えます。
結び目理論
3次元空間内にある輪を「結び目」といいます。結び目にはほどける結び目とほどけない結び目があり、その判定に用いる「結び目不変量」など、結び目理論に関する研究を行います。
微分方程式と変分法
微分法・積分法を活用して、弦の振動やせっけん膜の形などの身近な現象を数学的に解析することが本研究室の目標です。さらに、極値を求める手法を発展させた「変分法」を用いて、微分方程式の解の存在や安定性を示す研究を行います。
物理科学科
物質のNMR研究
電子も原子核も磁石です。核磁石の共鳴吸収が核磁気共鳴NMR。プロトン磁石を使って人体の断層写真を撮るMRIと同じ原理のNMR法を用い、物質の磁性や電子集団の動的スピン相関関数の研究をしています。卒業研究では量子力学を使ったNMR法を 勉強します。またミクロな物理を肉眼で見えるスケールで模した装置を製作・実験・検証する教材の開発もしています。
ソフトマター物理学
ゼリーや人体は柔らかいけれど一定の形を持ち、砂山は傾けると液体のように流れます。通常の固体・液体・気体とは異なるこのような「柔らかい」物質群をソフトマターと呼びます。その新奇な性質を解明し、新たなソフトマターを創り出すことを目指しています。
計算物質科学・ナノサイエンス環境化学
フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素ナノ物質や、原子スケールで眺めた物質表面などナノスケールの物質は、マクロスケールとは異なる興味深い性質を示します。
その性質がどのような理由で現れるのかを明らかにすることを目指しています。
環境化学
地球温暖化防止のためのエネルギー技術について研究しています。具体的には太陽光水電解水素製造、水素貯蔵合金作製・評価、CO2削減・有効利用技術としてCO2電気化学還元、Ti O2光触媒水分解といったテーマを扱っています。
統計力学
空を飛ぶ鳥の群れや、街を行き交う人々の流れなど、「たくさんのもの」が従う自然法則を見いだす研究をしています。古くには、原子や分子など平衡系の統計力学が確立していますが、これをさまざまな非平衡系に拡張すれば、世の中に対する新しい理解が得られます。粉体やガラスの物性に加え、情報化社会のさまざまなデータも対象です。
構造物性物理学
結晶構造(原子の並び)やその揺らぎから、物質の性質を明らかにすることを目的として、主にX線を用いた実験を行っています。温度・圧力・磁場といった環境下で物質が示す新しい現象を探索したり、その発現機構を解明したりしています。
炭素ナノ構造体の物理化学
フラーレン(C60)やナノチューブなどの炭素ナノ構造体はさまざまな物理化学的性質をもちます。例えば特定の幾何構造をもつ単層カーボンナノチューブだけが金属的性質を示します。こうした物質群の作製・分離精製を行い生成過程の理解と応用を目指します。
トポロジカル物質の実験研究
単結晶・薄膜試料(主にトポロジカル物質)を自分で作り、極低温・強磁場での物性も自分で測定する実験研究を行います。また、学生の興味次第で測定装置や周辺装置の開発も研究テーマになります。
原子核ハドロン物理
クォークやグルーオンが強い相互作用で束縛した粒子をハドロンと呼びます。4つ以上のクォークで構成されるハドロンの研究や原子核中でのハドロンの性質の研究からクォーク・グルーオン間の相互作用や質量の起源を調べることができます。これらを実験で研究するためにはハドロンの生成、崩壊時に生じる粒子(放射線)を測定する必要があります。この研究室では放射線検出器を自分達で作り、放射線を実際に測定することで、素粒子・原子核物理の実験技術を学びます。
ハドロンおよびハドロン多体系に関する理論研究
物質の構成要素であるハドロンの性質を解明し、強い相互作用を理解することを目的として研究しています。特に、中間子を原子核内に束縛させた中間子原子核系を通じて、有限密度中における中間子の性質変化に関する理論予言を行っています。
宇宙物理・気象学科
地球型惑星大気の電波掩蔽観測
人工衛星や宇宙探査機から発せられる電波を用いて(電波掩蔽法)、地球・金星・火星という地球型惑星の大気構造やそれらの違いを調べています。特に金星・火星の場合は、遠く離れた所にいる探査機と地球を結んだ壮大なスケールの実験・観測です。
火星の砂嵐
火星では砂嵐が発生します。小さいものは京都市ほどですが、大きいものは火星全域を覆いつくしてしまうほど大きいです。しかも、いったん砂嵐が発生すると、内部では温度が数十度も上昇します。まるで違う惑星になったかのようです。大気環境を劇的に変えてしまう火星の砂嵐の発生と拡大のメカニズムを研究します。
銀河系の物質化学進化と太陽系の起源
太陽系は46億年前にガスと塵の「分子雲」から誕生。分子雲のガスや塵は、さまざまな天体から放出され熱いガスが冷え、より複雑な分子が化学反応でつくられました。特別な測定装置を神山天文台で開発して天体を観測し、諸天体の元素合成や物質放出、化学進化を明らかにしています。
さまざまな銀河の中心に潜む巨大なブラックホールの観測
私たちの住む天の川銀河をはじめ、ほとんどすべての銀河の中心に、巨大なブラックホールが潜んでいるらしい…、 一体そこで何が起きているのか。干渉計によるこうしたブラックホール周辺の直接探査を中心として、超高空間分解能観測による宇宙物理学の新展開を、学部生・大学院生とともに目指しています。
惑星大気観測
太陽系で大気を持つ惑星は、地球だけではありません。量の多い少ないに差こそあれ、どの惑星も何らかの「大気」を保持しています。研究室では、そうした地球や他の惑星の大気を観測することで新たな知見を獲得することを目的としています。
宇宙物理学
宇宙で起こるさまざまな現象を物理と数学を使って明らかにすることを目指しています。特に、超新星爆発やガンマ線バーストと呼ばれる星の起こす大爆発現象の背後に働く物理を解き明かすために、スーパーコンピュータを用いた数値シミュレーションを行っています。
惑星気象学
太陽系には地球以外に大気を持った惑星や衛星が存在し、そこでは地球の気象とは全く異なる、さまざまな大気現象が生じています。地球の気象学では説明できない惑星大気の不思議な現象を研究し、気象学の限界に挑戦しています。
気象力学
私たちの生活に大きな影響を及ぼしうる異常気象や気候変動のメカニズムは、いまだ解明されていません。研究室では、それらの力学的なメカニズムを解明するための研究を行っています。
光学とその応用
「偏光測定法の研究:膜厚測定や物質の磁気的性質の測定など広い応用」や「光散乱計測法の研究:微小ナノ構造の解明に役立つ測定装置の設計・制作」など学生の関心・興味に応じ、光学のいろいろな分野と応用技術の研究ができます。
一般相対性理論、および宇宙論
重力波、ブラックホール、量子宇宙論、インフレーション理論、重力レンズを用いた暗黒物質、暗黒エネルギーなど一般相対性理論、宇宙論に関連した理論的研究、観測的研究をしています。特別研究では、興味に合わせてこれらの中からいずれかを選んで研究します。
重力の望遠鏡を利用し、宇宙物理学の諸問題に取り組む
重力レンズ現象と呼ばれる、宇宙独特の特異な現象を、いわば重力の望遠鏡として利用しながら、太陽系外惑星の探査から、ブラックホール、宇宙論に至るまで、宇宙物理学におけるさまざまな問題に対して、理論・観測の両側面から研究に取り組んでいます。