障害を理由とする差別の解消の推進に関する京都産業大学の教職員対応ガイドラインにおける留意事項 障害を理由とする差別の解消の推進に関する京都産業大学の教職員対応ガイドライン(以下「対応ガイドライン」という。)第4条及び第5条の別に定める留意事項は以下の通りとする。 第1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例及び不当な差別的取扱いに当たらない具体例(第4条関係) 対応ガイドライン第3条第1項及び第2項のとおり,不当な差別的取扱いに相当するか否かについては,個別の事案ごとに判断されることとなるが,不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は,文部科学省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針(平成27年文部科学省告示第180号)(以下「文部科学省対応指針」という。)の別紙1「不当な差別的取扱い,合理的配慮等の具体例」における,「1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例」および「2 不当な差別的取扱いに当たらない具体例」を参照し,次のとおりである。 なお,文部科学省対応指針に掲げる具体例については,正当な理由が存在しないことを前提とし,また,文部科学省対応指針に掲げる具体例以外でも不当な差別的取扱いに該当するものがあることに留意すること。 (不当な差別的取扱いに当たり得る具体例) 障害のみを理由として,以下の取扱いを行うこと。 ○学校,社会教育施設,スポーツ施設,文化施設等において,窓口対応を拒否し,又は対応の順序を後回しにすること。 ○資料の送付,パンフレットの提供,説明会やシンポジウムへの出席等を拒むこと。 ○社会教育施設,スポーツ施設,文化施設等やそれらのサービスの利用をさせないこと。 ○学校への入学の出願の受理,受験,入学,授業等の受講や研究指導,実習等校外教育活動,入寮,式典参加を拒むことや,これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付すこと。 ○試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に,当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり,評価において差を付けたりすること。 (不当な差別的取扱いに当たらない具体例) ○学校,社会教育施設,スポーツ施設,文化施設等において,合理的配慮を提供等するために必要な範囲で,プライバシーに配慮しつつ,障害者である利用者に障害の状況等を確認すること。 ---1ページ--- 第2 合理的配慮に当たり得る配慮の具体例(第5条関係) 合理的配慮は,障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化,必要な人材の配置,情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として,個々の障害者に対して,その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は,対応ガイドライン第3条第3項及び第4項のとおり,障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり,多様かつ個別性が高いものであり,当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ,社会的障壁の除去のための手段及び方法について,必要かつ合理的な範囲で,柔軟に対応する必要があるが,具体例は,文部科学省対応指針の別紙1「不当な差別的取扱い,合理的配慮等の具体例」における,「3 合理的配慮に当たり得る配慮の具体例」を参照し,次のとおりである。 なお,文部科学省対応指針に掲げる具体例については,過重な負担が存在しないことを前提とし,また,文部科学省対応指針に掲げる具体例以外にも合理的配慮は多数存在することに留意すること。 (主として物理的環境への配慮に関する具体例) ○学校,社会教育施設,スポーツ施設,文化施設等において,災害時の警報音,緊急連絡等が聞こえにくい障害者に対し,災害時に関係事業者の管理する施設の職員が直接災害を知らせたり,緊急情報・館内放送を視覚的に受容することができる警報設備・電光表示機器等を用意したりすること。 ○管理する施設・敷地内において,車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし,又は段差に携帯スロープを渡すこと。 ○配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡したり,図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えたりすること。 ○疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際,別室の確保が困難である場合に,当該障害者に事情を説明し,対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設けること。 ○移動に困難のある学生等のために,通学のための駐車場を確保したり,参加する授業で使用する教室をアクセスしやすい場所に変更したりすること。 (主として人的支援の配慮に関する具体例) ○目的の場所までの案内の際に,障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり,介助する位置(左右・前後・距離等)について,障害者の希望を聞いたりすること。 ○介助等を行う学生(以下「支援学生」という。),保護者,支援員等の教室への入室,授業や試験でのパソコン入力支援,移動支援,待合室での待機を許可すること。 ---2ページ--- (意思疎通の配慮の具体例) ○学校,社会教育施設,スポーツ施設,文化施設等において,筆談,要約筆記,読み上げ,手話,点字など多様なコミュニケーション手段や分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮を行うこと。 ○情報保障の観点から,見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や,拡大コピー,拡大文字又は点字を用いた資料,遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供),聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供,見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等),知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する,漢字にルビを振る,単語や文節の区切りに空白を挟んで記述する「分かち書き」にする,なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。また,その際,各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用すること。 ○知的障害のある利用者等に対し,抽象的な言葉ではなく,具体的な言葉を使うこと。例えば,サービスを受ける際の「手続」や「申請」など生活上必要な言葉等の意味を具体的に説明して,当該利用者等が理解しているかを確認すること。 ○子供である障害者又は知的障害,発達障害,言語障害等により言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が困難な障害者に対し,絵や写真カード,コミュニケーションボード,タブレット端末等のICT機器の活用,視覚的に伝えるための情報の文字化,質問内容を「はい」又は「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり,本人の自己選択・自己決定を支援したりすること。 ○比喩表現等の理解が困難な障害者に対し,比喩や暗喩,二重否定表現などを用いずに説明すること。 (ルール・慣行の柔軟な変更の具体例) ○学校,社会教育施設,スポーツ施設,文化施設等において,事務手続の際に,職員や教員,支援学生等が必要書類の代筆を行うこと。 ○障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に,周囲の理解を得た上で,当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意すること。 ○他人との接触,多人数の中にいることによる緊張のため,不随意の発声等がある場合,緊張を緩和するため,当該障害者に説明の上,施設の状況に応じて別室を用意すること。 ○学校,文化施設等において,板書やスクリーン等がよく見えるように,黒板等に近い席を確保すること。 ○スポーツ施設,文化施設等において,移動に困難のある障害者を早めに入場させ席に誘導したり,車椅子を使用する障害者の希望に応じて,決められた車椅子用以外の客席も使用できるようにしたりすること。 ○入学試験や検定試験において,本人・保護者の希望,障害の状況等を踏まえ,別室での受験, ---3ページ--- 試験時間の延長,点字や拡大文字,音声読み上げ機能の使用等を許可すること。 ○点字や拡大文字,音声読み上げ機能を使用して学習する学生等のために,授業で使用する教科書や資料,問題文を点訳又は拡大したものやテキストデータを事前に渡すこと。 ○聞こえにくさのある学生等に対し,外国語のヒアリングの際に,音質・音量を調整したり,文字による代替問題を用意したりすること。 ○知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な学生等に対し,理解の程度に応じて,視覚的に分かりやすい教材を用意すること。 ○肢体不自由のある学生等に対し,体育の授業の際に,上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変えたり,走運動における走る距離を短くしたり,スポーツ用車椅子の使用を許可したりすること。 ○日常的に医療的ケアを要する学生等に対し,本人が対応可能な場合もあることなどを含め,配慮を要する程度には個人差があることに留意して,医療機関や本人が日常的に支援を受けている介助者等と連携を図り,個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し,過剰に活動の制限等をしないようにすること。 ○治療等のため学習できない期間が生じる学生等に対し,補講を行うなど,学習機会を確保する方法を工夫すること。 ○読み・書き等に困難のある学生等のために,授業や試験でのタブレット端末等のICT機器使用を許可したり,筆記に代えて口頭試問による学習評価を行ったりすること。 ○発達障害等のため,人前での発表が困難な学生等に対し,代替措置としてレポートを課したり,発表を録画したもので学習評価を行ったりすること。 ○学校生活全般において,適切な対人関係の形成に困難がある学生等のために,能動的な学習活動などにおいてグループを編成する時には,事前に伝えたり,場合によっては本人の意向を確認したりすること。また,こだわりのある学生等のために,話し合いや発表などの場面において,意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して,時間を十分に確保したり個別に対応したりすること。 ○理工系の実験,地質調査のフィールドワークなどでグループワークができない学生等や,実験の手順や試薬を混同するなど,作業が危険な学生等に対し,個別の実験時間や実習課題を設定したり,個別のティーチング・アシスタント等を付けたりすること。 ---4ページ--- 第3 授業における合理的配慮決定過程(第5条関係) 対応ガイドラインにおける対象場面は,第2条第1号に示したように,「本学における教育及び研究,並びに大学キャンパス内外を問わず本学が行う活動全般」とした。しかし,大学が提供する事業の性質上,障害のある学生から社会的障壁の除去,配慮・調整の要望が寄せられるのは授業場面が多いと想定されるため,授業場面における合理的配慮提供までの標準的な流れ(以下,「授業における合理的配慮決定過程」という。)を対応にあたる教職員に示すこととした(次頁の表を参照)。これは,対応ガイドライン第5条第3項において,合理的配慮の提供にあたり留意すべき事項として言及されたものである。 なお,授業における合理的配慮の提供は,多様かつ個別性が高いものであり,記載の順番通りに行われない場合もありうることに留意しつつ,本留意事項の第2を参考にして配慮・調整(合理的配慮提供)されたい。また,授業における合理的配慮決定過程は,運用面の実情に合わせて随時改訂されることを想定している。 ---5ページ--- 授業における合理的配慮決定過程 決定過程 関連書類等 1.学生からの相談受付 学生本人または保護者・保証人等から授業における困りごとに関する相談を受けた時は,教職員は,相談内容について確認の上,障害学生教育支援センター(以下「センター」という。)にお知らせください。※必要に応じてセンターのスタッフが各相談窓口におもむき,相談に同席します。 障害学生教育支援センターのパンフレット 2.ニーズ把握のための面談実施 センターでは,学生本人または保護者・保証人等と,困りごとの状況を確認する面談を実施します。配慮・調整の内容について,本人が明確に言語化できない場合は面談を重ねます。なお,配慮・調整は,授業に参加するための保障であり,単位修得を目的とするものではないこと等を説明します。 学生向け配慮提供までの流れ 3.根拠資料の確認 / 配慮・調整の申込を受理 配慮・調整のニーズが明確になったら,学生は「配慮・調整申込書」(以下「申込書」という。)及び根拠資料を提出します。 配慮・調整申込書 4.障害学生支援委員会で要配慮学生の承認 障害学生支援委員会(以下「委員会」という。)にて,要配慮学生として承認し,配慮・調整の方針を検討します。それに基づきセンターは授業担当教員(以下「教員」という。)への依頼文書(以下「配慮・調整依頼文書」という。)を作成します。 5.配慮・調整依頼文書の配付 センターから教員へ,教員が所属する学部事務室等を通じて配慮・調整依頼文書を配付します。 配慮・調整依頼文書 6.教員と学生の協議・合意形成 学生から教員に,配慮・調整の要望を伝えます。教員は授業の到達目標を考慮の上,学生と配慮・調整について協議してください。教員は,学生が持参する「配慮・調整内容確認シート」に,合意に至った内容を記入して,学生に渡してください。※センターが合理的配慮に関わるプロセスを支援します。配慮内容に関する相談の受付や,相談の仲介を行います。※配慮内容確認シートは学生・教員へコピーを配付します。備忘として学期終了まで保存してください。 配慮・調整内容確認シート 7.合理的配慮の提供 授業において,合理的配慮を提供します。※学生の心身状態や受講環境に変化が生じた場合,学生と教員,委員会,センターは配慮・調整の内容を再検討します。※配慮・調整の内容についての合意形成の過程や,その他の問題が生じた場合は,まずセンターに相談してください。※学生は,配慮決定過程等において,センターに対して苦情がある場合は,学内の苦情・不服申し立て窓口に申し立てることができます。さらに,学外機関(文科省相談窓口,法務局・人権擁護委員,障害者差別解消地域協議会)へ異議申立てをすることもできます。 ---6ページ---