益川塾 渡邊篤史 博士研究員らが日本物理学会第20回論文賞受賞

日本物理学会第20回論文賞賞状

  益川塾博士研究員の渡邊篤史さんが、清水勇介さん(マックスプランク核物理学研究所)と谷本盛光さん(新潟大学)との共著論文により、日本物理学会第20回論文賞を受賞しました。

 日本物理学会論文賞は、独創的な論文により物理学に重要な貢献をした功績を称えるために、一般社団法人日本物理学会が毎年5件以内の論文を選出し、会員等に対して贈るものです。

 T2K長基線実験の結果によって、比較的大きなθ13混合角の値が示唆される以前に、単純なニュートリノ質量行列の仮定から正しい予言をしていた点が評価され、今回の受賞となりました。

受賞論文

``Breaking Tri-bimaximal Mixing and Large θ13”
Yusuke Shimizu, Morimitsu Tanimoto, Atsushi Watanabe,
Progress of Theoretical Physics 126: 81-90, (2011).

クォークの混合行列である小林・益川行列に対して、レプトンの混合行列は牧・中川・坂田行列と呼ばれ、その値は様々なニュートリノ実験の結果から、近年かなりの部分が分かってきました。本論文は、世代の間の離散対称性とその破れの存在を示唆するような、非常にシンプルなニュートリノ質量行列の形によって、実験によって確認されている牧・中川・坂田行列の値を予言できることを示したものです。
 素粒子の世代が示す質量の階層性や混合行列の特徴的なパターンは、物理学における最も深遠な謎のひとつです。クォークとレプトンの混合行列の特徴を再現するモデルの探究によって、世代の謎に対する手がかりが得られるものと期待されています。

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