益川塾 柴正太郎 博士研究員らが第9回素粒子メダル奨励賞受賞
益川塾博士研究員の柴正太郎さんが、静岡大学(現所属)講師の森田健さんとの共著論文により第9回素粒子メダル奨励賞を受賞しました。
素粒子メダル奨励賞は、我が国の伝統ある素粒子論研究者の組織の素粒子論グループが制定した賞で、素粒子論を志す若手研究者の優れた研究を顕彰し、奨励することを目的としています。
物質の究極理論の候補である超弦理論において、注目される定式化の一つにM理論があります。そのM理論のダイナミクスの解明に向けて、非常に重要な示唆を与える研究である点が評価され、今回の受賞となりました。
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日本物理学会 第70回年次大会
素粒子論懇談会での授賞式
(左:柴正太郎 益川塾博士研究員) -
第9回素粒子メダル奨励賞賞状
受賞論文
Takeshi Morita, Shotaro Shiba,
“Thermodynamics of black M-branes from SCFTs,”
JHEP 1307 (2013) 100.
研究概要
超弦理論の重要な定式化の一つであるM理論には、Mブレーンと呼ばれる物体が存在し、我々の世界や物質はすべて、それらから創られていると考えることができます。しかし、それらのダイナミクスは非常に複雑で、未だ謎に包まれている部分がたくさんあります。
本研究では、そうしたダイナミクスを既知の場の理論を新たな観点から考察することによって、定性的ではありますが、非常に明快に導きました。この結果により、M理論のダイナミクスの解明に向けて新たな一歩を踏み出すことができたと考えられます。