日本における地方議会改革

開催日時 2015年6月24日(水)15:00〜18:00
開催場所 京都産業大学 第二研究室棟 会議室
報告者 芦立秀朗(本学法学部教授)

概要

「地方自治」の三つの観点

 「地方自治」を研究の対象とする際には主に3つの観点が考えられる。@中央地方関係、A地方行政、B地方政治、がそれである。しかしながら、長らく「地方自治」=中央地方関係に関する研究が主流となっており、それ自体としては非常に重要な研究ではあるものの、地方行政や地方政治に関しては、あまり射程に含まれてこなかった。
 本研究報告では、その中でもB地方政治に焦点を当てて考察していく。

地方政治の制度分析

 地方政治を分析していく観点として制度を取り上げる。まず前提として二元代表制(大統領制)が採用されていることが挙げられるが、制度分析の視座として、執政制度および選挙制度を取り上げることとする。

議会改革

 議会改革には、住民の参加を促したり、時限措置を用いたり(柔軟化)と、様々な手法が考えられるが、ここでは早稲田大学マニフェスト研究所が毎年発表している議会改革度調査ランキングで用いられている「議会機能強化」「住民参加」「情報公開」の3つを指標としており、これをもとに、分析を行っていく。
 改めて本研究での関心を示すと、「なぜ、ある議会では改革が進み、他の議会では進まないのか」というところに据えている。本報告では、それを検証していくにあたって、京都府の京都市会(2014ランキング9位)、東京都の町田市議会(2014ランキング10位)を取り上げる。

議会改革度調査

 議会機能強化に関しては、京都市は議会基本条例を2014年に制定しており、議会機能強化における評価が高い理由も、これを反映しているものと思われる。町田市は議会基本条例を制定していないためランキング評価は低いが、陳情人の委員会での意見陳述を認めるなど、整備化を進めており、必ずしも機能強化がなされていない訳ではない。
 また、住民参加と情報公開に関して、京都府では、出前議会という形で、委員会を京都市外で行う試みを行っている。町田市では、委員会の休憩時間をもインターネットで配信するなど、情報公開での革新的な試みが散見される。

議会改革の促進要因

 まずひとつに議員の入れ替わりが議会改革を促進すると言えるかもしれない。議員の入れ替わりの激しいところでは新しいことを主張せざるを得ない、ということは十分に考えられる。ただし、新顔率は2015年4月の41道府県平均に比べて、町田市では低い。京都市は異常に高いが、例えば2011年選挙では平均以下であり、必ずしも高いとは言えない。
 また、女性議員の多さや、強力な推進派の存在などが要因として考えられるが、いずれも独立変数として取り扱うには難しいのではないかと考えられている。

最後に

 本研究報告では、独立変数を特定するには至っていないが、それは今後の課題とする。


  • 発表の様子(芦立教授)

  • 質疑の様子
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