現代と伝統:十牛図と京都哲学

世界問題研究所・総合学術研究所共催研究会(第6回)

報告者 森哲郎(文化学部)
開催日時 2013年2月13日(水)15:00〜18:00
開催場所 第2研究室棟1F会議室

報告の概要

 文化学部の森哲郎氏に「現代と伝統:十牛図と京都哲学」と題してお話しいただきました。3月に開催される国際シンポジウム「現代日本における世界理解:日本思想(京都学派)の可能性」の準備段階も兼ね、「神、世界、人間」という西洋理解を十牛図の視角から照らしなおす試みがなされました。第一図から第十図を一直線に見るのではなく、第一から第七図を円環にむすび、第八から第十図は一体として捉え、第七から第八への飛躍の連関が際立つように図式化する方法が提示されました。これにより、仏性に至る修行過程を一つの閉じたサイクルではなく開放性に向かう流れとして理解できるようになるとの主張がなされました。またこの<⑧・⑨・⑩>という次元の差異化は従来の「佛・法・僧」という相関図を新たな視角から再考する機会を提供すること、そして現代の「世界」を構成する関係性、すなわち「意志的(I)、社会システム的(it)、文化的 (we)」「芸術(I)、科学(it)、道徳(we)」の関係性を読み解く鍵となることが論じられました。最後に、現代社会は「it」(科学、システム)が他の領域を飲み込むほどに肥大化した時代ではないかという問いが提出されました。

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