第5回研究会「Contemporary and Future Implication of the Murayama Statement: Philosophizing it from Japan’s Perspective」

報告者 東郷 和彦(世界問題研究所長)
開催場所 第2研究室棟第1会議室
開催日時 2011年10月26日(水)15:00〜18:00

報告の概要

 当研究所東郷和彦所長に「Contemporary and Future Implication of the Murayama Statement: Philosophizing it from Japan’s Perspective」と題して報告していただきました。「村山談話」が日本の植民地支配・侵略の責任主体をどう捉えているのかという問題が、ドイツ・ヴァイツゼッカー元首相の演説内容と比較される中で論じられました。まず、「談話」においては「責任」の主体とされる「わが国」が具体的に何を指すのかが曖昧になっているのに対し、「演説」においては罪と責任が区別され、前者は「個人」に向かい後者は「後世のドイツ人全て」に関わるものとして位置付けられていることに焦点が置かれました。またカール・ヤスパースによる「罪」の四区分――刑事的罪、政治的罪、道徳的罪、形而上的罪――が参照され、ヴァイツゼッカーの「個人の罪」および「記憶にとどめる責任」が道徳的・形而上的罪の区分にうまく適合するのに対し、「談話」には両者が欠けていることが指摘されました。最後に、日本国内における右派・左派からの「談話」批判が概観されました。

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