第8回研究会「成長パラノイア:イギリス近代史のパースペクティブ」

報告者 川北稔(文化学部客員教授、大阪大学名誉教授)
開催場所 第2研究室棟第1会議室
開催日時 2011年3月9日(水)15:00〜18:00

報告の概要

 本学文化学部客員教授の川北稔氏をお招きし、「成長パラノイア」と題してご講演いただきました。はじめに、近年の歴史学には全体的・長期的歴史観の議論が求められているという指摘がなされ、「資本の飽くなき自己増殖欲」(マルクス)や「持続的成長」(ロストウ)などの進歩史観を「成長パラノイア」として再考する視点が提示されました。これにより、(1)世界システムにおける主権国家競争には「国力(国民経済)」の成長観念がある点、(2)近代経済における「成長」を需要の側から読み解く必要性、の二点が明らかになりました。特に(2)については、都市化・身分制の崩壊・マーケットの創出という三つの要素からイギリス近代経済史における「成長」背景が分析されました。最後に成長が幸福に結びつくのかという深い問いかけがなされました。

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