プログラムの概要

スパイラルステップアップ(Spiral Step−up)社会人基礎力
−社会人基礎力を内面から高め、状況に応じて柔軟に活用できるようになるために−

本学のこのプロジェクトは次の二つの目的を担っている。

(1)教育目的

学生の学習意欲を刺激しながら、社会人基礎力を内面から高め、状況に応じてそれを柔軟に活用できるようにする。

(2)社会目的

社会人基礎力を学内及び社会に広く普及させる。学内においては教育手法の確立とその学内普及に努める。社会においては新入社員教育や人事担当者への社会人基礎力の普及に努める。

これら二つの目的を達成するために、以下のような仕組みが開発され、平成21年度に正規科目O/OCF-PBL(*3)を開講して、事業の推進を行う。

(1)教育目的達成のための社会人基礎力育成・評価システムとカリキュラムの概要

1.社会人基礎力育成・評価システム

上に掲げられた教育目的の達成を図るために、(図1)に示す社会人基礎力育成・評価システムを構築。

社会人基礎力育成・評価システム

◆三つの手法が社会人基礎力を育成し、学習意欲を刺激する

 まず、社会人基礎力を育成するために、三つの手法(課題解決・チームワーク・コーチング)を用いる。担当教員やチームメンバー相互間で行われるコーチングに支援されながらチームワークで課題を解決する過程を通して、内面にあって目には見えない「頭の働かせ方」や「精神的タフネス」が高まる。そして、そのことが外面にあって目で見ることのできる「社会人基礎力」を向上させる。さらに、「社会人基礎力」が高まれば、そのことがチームの雰囲気を醸成し、好循環が生まれる。また、課題を解決するには、課題解決に関連した知識が必要である。チームの雰囲気が醸成されるにともなって、チームメンバーの学習意欲が刺激され、ここにも好循環が生じる。

◆外面評価と検査にもとづいた内面評価との併用が成長の確かさを客観化

 評価は育成のためのツールである。このような考え方にもとづいて、実践を通して構築された「社会人基礎力」評価モデルを経済産業省が公開している。このモデルは、「○○できる」という観点からする評価システム(事前・中間・事後)で、目で見ることのできる外面のスキルを対象にしている。本学のプロジェクトでは、経済産業省モデルに、目に見えない内面の検査(適性科学研究センター)にもとづいた評価(事前・事後)を加味している。「頭の働かせ方」と「精神的タフネス」とは、それぞれ「社会人基礎力」のシンキングとアクションおよびチームワークとを内面から支えている。目に見えない内面も向上してこそ、外面上の変化が本物になると考えられる。

2.O/OCF-PBL(課題解決型コーオプ教育)

O/OCF-PBL(課題解決型コーオプ教育)

◆二段階方式が教育効果を高める

1年次生と3年次生の「頭の働かせ方」と「精神的タフネス」とを測定したところ、両学年の間に平均の差はなく、しかも、課題解決やチームワークに満足に対応できる状況ではないことが明らかになった。この結果を受け、1年次の間に「社会人基礎力」を十分に高めるべく、1年次生を第一段階とし、それを終了した2・3年次生を第二段階とする二段階方式のカリキュラムを設計した。

◆2・3年次の関係を利用したロール・プレーイングが「社会人基礎力」の状況に応じた柔軟な活用を可能にする

チームでプレーする場合、リーダーシップが注目されることが多いが、フォロワーシップの役割も見逃すことはできない。そこで、2・3年次生の関係を利用して、2年次生には「社会人基礎力」12要素のうちフォロワーシップに関係の深い項目(傾聴力)を、また、3年次生にはリーダーシップに関係の深い項目(課題発見力、働きかけ力、発信力)を意識して行動する役割を負わせ、ロール・プレーイングしながら課題解決にあたる。

(2)「社会人基礎力」を広く社会に普及させるための仕組み

人材育成に強いかかわりを有する社会的地位にある有力者を委員に委嘱して「社会人基礎力普及推進委員会」を設置し、「課題提供企業の集い」を開催するなど「社会人基礎力」の普及推進に努める。また、この委員会は、このプロジェクトの第三者評価の役割も果たす。

採択の詳細は経済産業省ホームページをご参照ください。

*1.平成21年度度体系的な社会人基礎力育成・評価システム開発・実証事業

 学生が入学してから卒業するまでの間に受講する様々な科目を体系的に編成することにより、学生の社会人基礎力を徐々に伸ばし、定着させる教育システムモデルの開発・実証を行うことを目指した経済産業省の委託事業

詳細は経済産業省内Webページ

*2.PBL(Project-Based Learning)

 問題や課題を解決するために、日頃学んだ知識を活用して調査・検証しながら取組む実践型教育。主体的に学習していく教育プログラムとして注目されている。

*3.O/OCF-PBL(On /Off Campus Fusion -Project Based Learning)

 大学(on campus)での学びと、実社会(off campus)での学びとが融合(fusions)したかたちで実施し、さらに、大学と実社会とを融合させる手段として、企業などから提供された課題に挑戦する実践指向型の課題解決(PBL : Project Based Learning)方式。科目名は、On / Off Campus Fusion-Project Based Learning の頭文字をとったもの。

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