第2回講座「ファシリテーションの機能とミッションを理解する」

ニックネームを考え、全員のニックネームを覚えよう。
ニックネームを考え、全員のニックネームを覚えよう。
日時 2014年11月5日(水)13:30〜16:30
場所 京都産業大学 4H演習室(4号館3階)
参加者 17名
テーマ

はじまり

 2日前まで神山祭が開催されキャンパス内に模擬店や部展が沢山並び、賑やかでいつもと違う雰囲気だったせいか、この日はいつもより淋しげな秋の風を感じて4号館3階の4H演習室に向かった。
 演習室の扉を開けるとみんなすでに席につき、それぞれ自分の時間を過ごしていた。3週間ぶりだったせいか、少し緊張した空気を感じたまま私は、参加者の受付を行い、名札と配布資料を渡した。
 会場は、長机に3脚の椅子がある状態が全部で12セットあった。定刻の13時30分、F工房スタッフである中西さんの挨拶から第2回目の講座が始まった。15分ほどで前回のふりかえりと次回の合宿内容が案内された。3週間のブランクのせいか、神山祭の疲れのせいか、中西さんのちょっとしたボケが入っても少し反応が薄いように思えた。中西さんの説明の後、進行がF工房スタッフの大谷さんにバトンタッチされ、拍手のなか登場した大谷さんの進行で本日の講座が始まった。
 今回は、参加者有志の学生とF工房スタッフで一緒にワークを企画したとのこと。前半は「ニックネームワーク」、後半は「グループワークにおける懸念とファシリテーションの必要性」の2部構成であること、の2点が冒頭で告げられ、ワークに進んでいった。

ニックネームを考え覚える

 前半のワーク、アイスブレイク「ホップ・ステップ・ニックネーム」(後述、p.6〈付録〉)は4グループ(1グループ4〜5人)に分かれニックネームを考えるというものだった。
 グループ決めでは、「あなたのポジティブ度は何パーセント?」というお題に対して、【ポジティブ度100%の人は下手(しもて)(教卓を向いた時の左側)】→【ポジティブ度0%(ネガティブ)の人は上手(かみて)(教卓を向いた時の右側)】で一列に並び、グループ数の1〜4まで順にナンバリングを行い、同じナンバーの人とグループになる方法で行われた。みんな「自分は何%だろうか」と悩みながら、周りの人と声を掛け合い一列に並んだ。グループが決まったところで、みんなでグループワークがしやすいように机を動かした。
 グループに分かれた後、グループにはニックネーム質問リストが配られた。〈資料1〉の【お話のきっかけQuestion】を参考にしながらグループのメンバーに質問をし、質問の答えをヒントにメンバーのニックネームを考えた。

〈資料1〉お話のきっかけQuestion

  • 好きな〇〇「好きな歌手など」
  • 最近買った高価なもの
  • 最近ときめいたこと
  • 最近よかったこと
  • 嫌だったこと
  • 自己発見したこと(新たな一面)
  • 将来したいこと
  • 好きな給食
  • 自分の持ち味
  • 入っていた部活(どうして帰宅部?)
  • 趣味
  • 昔にしていた習い事
  • 得意なこと
  • タイムマシンあるならどうする?
  • 休日の過ごし方
  • 大学にきた理由(KSU or 大学そのもの)
  • 好きな本
  • 自分が輝いている瞬間(没頭している時間)
  • 真似してみたい映画
  • TVの内容・好きな場所(居心地の良い場所)
  • 明日地球が滅びるなら、、、
  • 好きな授業
  • カラオケの十八番
  • 座右の銘
  • ファシラボに来た理由
  • キャリア教育科目を取ったことがある?
  • お金があったらなにがしたい
  • 授業以外ならなにがしたい??
  • いつまでに結婚したい?
  • いつまで仕事したい?
  • その他 FREEDOM!!!
  • ニックネームを考え、全員のニックネームを覚えよう。
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  • ニックネームを考え、全員のニックネームを覚えよう。
  • ニックネームを考え、全員のニックネームを覚えよう。

ニックネームを考え、全員のニックネームを覚えよう。

 グループで20分間の質問タイムが設けられた後、付箋にメンバーそれぞれにふさわしいニックネームを書き上げていった。私は思いつくニックネームを書いていったが、発想力の乏しい私はキャッチ―なニックネームを考えるのに苦労した。思い思いのニックネームをメンバーに考えてもらい、その中から自分の気に入ったニックネームを選んだ。

 全員で円をつくり【フルネーム、グループワークで決めたニックネーム、ナゼそのニックネームになったのか(理由)】を1人ずつ順に発表した。全員発表が終わったところでネームチェーンというゲームが行われた。

 ネームチェーンとは、一人目が、自分の「ニックネーム」を言う。例えば、「白くまポーちゃん(ちなみにこのニックネームは私のです。照)です」。次に二人目が、一人目の【ニックネーム】を言ってから、自分の【ニックネーム】言う。「白くまポーちゃんの隣りの、どせいさんです」。三人目は、一人目の【ニックネーム】、二人目の【ニックネーム】、自分の【ニックネーム】を言う。「白くまポーちゃんの隣りの、どせいさんの隣りの、○○です」という具合に、一人目から順に行い最後は一人目の人が全員分を言って終了。という暗記力が必要とされるゲームであった。
 暗記が苦手な私は、私の順番までずっとソワソワして待っていた。なんとかミスなく言うことができ、ホッとしたのと同時にちょっぴり嬉しさがこみあげた。このファシラボという場において共有されるニックネーム。以前からの知り合い同士にも新鮮な空気が流れ、ファシラボという一つの共同体がこの場で新たに構成された感覚が芽生えた。
 あっという間に1時間ほどの時間が経ち、開始当初の緊張感も自然と消えていたことを感じたところで休憩時間となった。

  • 参加者有志の学生と一緒に企画したワークを実践!!
  • 参加者有志の学生と一緒に企画したワークを実践!!
  • 参加者有志の学生と一緒に企画したワークを実践!!
  • 参加者有志の学生と一緒に企画したワークを実践!!

参加者有志の学生と一緒に企画したワークを実践!!

自己防衛とグループワークでの懸念

資料2

資料3

 休憩後はグループワークに戻り、先ほど行ったグループワークでのキモチの変化についてふりかえりを行った。私のグループでは「普段話さないプライベートな事も聞けた」、「人によって質問の答えやすさ・答えにくさの違いがあると思った」、「雰囲気で質問のタイミングを考えられるようになり、アイスブレイクができていた」等があがった。
 その後、鬼塚先生のミニレクチャーが20分ほど行われた。今回は人と一緒に活動する時に抱える不安や心配事など、自己防衛を生み出す【4つの懸念】や【自己防衛を高める/低める6つの態度】について学んだ。アイスブレイクには緊張を和らげ、対話を促進する効果がある一方、J.Gibb(ジャック・ギブ)が提唱した理論では「グループの一員として認めてもらえるだろうか?(受容懸念)」、「どこまで自分のことを言えるだろうか?(データの流動的表出懸念)」、「みんなどこまでやってくれるだろうか?(目標形成懸念)」、「どこまで自分に影響が及ぶのだろうか?(社会的統制懸念)」の【4つの懸念】がアイスブレイクを阻害するものとして挙げられている。(〈資料2〉参照)
 また、自己防衛を高める(アイスブレイクを阻害する)6つの態度と、自己防衛を低める(アイスブレイクを促進する)6つの態度がある。と説明があった。(〈資料3〉参照)

 ミニレクチャーで理論モデルを学んだ後、実際に私たちが普段グループでの活動を行う際に感じる懸念についてグループ内で考えた。ブルーの付箋に「実際に感じたことがある懸念」、イエローの付箋には、「そのシチュエーションにおいて、相手が具体的にどのような態度だったか」を記入し、模造紙に貼り出した。
 その後、出し合った意見を共有し、「懸念に対する解決策やアドバイス」をピンクの付箋にみんなで書き出した。最後に、他のグループのものを見て回ってワークは終了した。

 グループワークにおける懸念と言われてもなかなかピンとこない。実際に各メンバーが経験したことを思い出す中で、それらのイメージが湧きやすくなる。意外と懸念を感じたり、与えたりすることがあるということに気付く。今回は、そんな自身の記憶の中にある気持ちや振る舞いを言語化できた。その上でファシリテータとしてどう振る舞うか、その一歩を学ぶきっかけになっただろう。しかし、私は懸念について正直イメージしきれたとは言えない。常にグループワーク、人と関わる時にはそれが起こるということを念頭に置いていくことが大切なのだろう。それを「社会的想像力」というのだろうか。
 今回、学生と一緒に企画を行い、「学生目線の視点やアイデアに刺激を受けつつ、それをプログラムに組み込むことができた。また、企画した学生も日々やっていることやアイデアをファシラボで実際に披露することで企画する楽しさも体験できていたように思う。」という大谷さんの言葉をもって、今回のルポルタージュを終える事にしよう。

〈付録〉 アイスブレイク「ホップ・ステップ・ニックネーム」ルール説明

目的

 ニックネームを作ることで、その場に集ったメンバーの関係構築ができる。またその場における限定された共通言語(その場だからこそ通ずるニックネーム)の獲得と連帯意識の芽生えが生じる。
 アイスブレイク「ホップ(聞く)・スッテプ(決める)・ニックネーム(覚える)」3つのステップを踏みながらニックネームを覚える。質問を通して相手のことを知り、ニックネームを決めることで共同体での自分を作ることが出来る。また、親近感がうまれ呼びやすくなる。

準備物

  • 「お話のきっかけQuestion」シート
  • 付箋
  • カラーマーカー
  • 名札
  • タイマー

方法

  1. ワークシート、付箋を配布する。〜ホップ〜
  2. 「お話のきっかけQuestion」シートを参考に質問をし相手の情報収集をする」(3〜5分間)
  3. 質問の答えを参考にニックネームを考える。
  4. 思いついたニックネームを付箋に書きだす。
    〜ステップ〜
  5. 書きだしたニックネームから自分の気に入ったものを1つ選ぶ。
  6. 選んだニックネームを名札に記入する。
  7. 円になって【フルネーム・ニックネーム・ナゼそのニックネームになったのか(理由)】を1人ずつ順に発表する。
    〜ジャンプ(ニックネーム)〜
  8. ネームチェーンゲームで全員のニックネームを覚える。
  9. 全員ニックネームを覚えて終了。

作成:中尾麻衣(F工房)

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