京都産業大学キャンパスマガジン サギタリウス 2015 Jul. Vol.70

特集1 京都産業大学で神秘のトビラを開こう ふしぎ宇宙ラボ 本学の創設者・荒木俊馬先生が宇宙物理学者だったことから、
本学には、壮大な宇宙の神秘にも触れられるチャンスがいっぱい!私立大学で全国一の規模を誇る神山天文台をはじめ、学内で進む最先端の研究の中から、知れば誰かに自慢したくなる(!?)ここだけの宇宙のハナシをご紹介します。 一緒に、驚きの世界へLet's GO♪

神山天文台マスコットキャラクター ほしみーるちゃん まずは必ずチェック! 楽章に浮かぶ星座とは? 本学の学章は、本誌の名前の由来でもある「サギタリウス(射手座)」をあしらっています。ギリシャ神話に登場する半身半馬の賢者ケイロンをかたどったもので、その宇宙を駆け巡る姿に、世界へ雄飛する学生の姿を重ねています。

  • 冥王星は「愛の星」!?氷でできたハートを発見! 地球から48億8千km離れているため、今まで謎に包まれていた冥王星。約9年半をかけてNASAの探査機が1万2千kmまで接近し、史上初の地表の観測に成功!くっきり写真に映ったハート型の氷の平原は、世界中の天文ファンの心を掴みました。 

  • まずは2015年の天文ホットトピックをCHECK! 今アツい!!宇宙の神秘 2015年は宇宙に関するさまざまなニュースが話題になりました。中でも特にワクワクする、ホットなトピックスをまとめてご紹介します。

  • 火星移住も夢じゃない!?水の存在が濃厚に! 地表に川のような溝があることから、かつては水があったのではと推測されていた火星。NASAが「水が流れた跡」と「塩」を発見し、現在も水がある可能性が高まりました。水が存在すれば、人類の
移住計画も現実になるかも!?

  • 青い部分が水の流れた跡です! 日本における次の皆既月食は2018 年1月31日。月食の一部始終を見ることができますよ! 世界を魅了した赤い月。その正体は、実は…!

  • 本学のアツいトピックもご紹介! 神山ホールが宇宙ステーションに!?油井宇宙飛行士との交信イベントを開催!2015年12月1日、「宇宙の油井飛行士と話そう」が開催され、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している油井亀美也さんとリアルタイム交信を行いました!「宇宙から見ると、流れ星は地球の方に向かって流れるので、初めて見たときは感動しました」など、宇宙ならではの体験を語ってくださいました。 トークセッションで参加者にメッセージを送った、河北神山天文台長。

  • 2015年4月4日に観測された皆既月食。白く輝く月が欠けていくとともに、赤銅(しゃくどう)色の月が現れるようなこの現象に、世界中の人々が注目しました。英語で「ブラッド・ムーン」と呼ばれたり、日本でも”不吉”とされるミステリアスな現象ですが、実はその原理は夕焼けと一緒なんですよ。

    宇宙人は土星で見つかる!?太古の地球に似た環境を発見!

    土星の衛星「エンケラドス」で、表面を覆う氷の層の下から、熱い海水が噴出するのが確認されました。地球で生命が誕生した場所の候補とされるのが海底の熱水噴出孔なので、この星にも生命を育む
環境があるのではと話題になっています。

ノーベル賞で話題になった「ニュートリノ」って? ノーベル物理学賞の受賞で話題になった「ニュートリノ」。これは宇宙で最も大量に存在する素粒子の一つで、なんと1秒間に約1兆個も私たちの体を突き抜けているんです。受賞の理由はニュートリノに重さがあることを証明したからなのですが、これは宇宙研究に欠かせない「素粒子物理学」の基本理論の見直しを迫る大発見!

  • 神山天文台は、今ここまで宇宙の神秘に迫っている!宇宙研究の最前線 神山天文台では、世界最先端の研究が行われています。ここでは研究者の方々に、明らかになりつつある宇宙・天体の姿をご紹介していただきます!

  • WINERED 本学と東京大学が共同開発した近赤外線を分析する装置。天体の光を8万色にも分け、天体のガスの成分や動きなどを詳しく調べることができます。感度はこの手の装置の中では世界トップクラス!

    荒木望遠鏡 全国で7番目の規模を持つ望遠鏡。初代総長 荒木俊馬 先生にちなんで名付けられました。人の目の5万倍もの光を集めることができ、はるか遠くの天体を観測することが可能です。

  • FILE 1 太陽系の起源が、ついに判明!?

  • 神山天文台 新井 彰 研究員 (本学卒業生)

  • 太陽系の原料となった物質はどこから来たのか?謎を解く鍵は「新星爆発」! 私たちの太陽系は約46億年前、宇宙を漂うガスや塵の雲から作られました。その原料になった物質は、少なくとも4種類の天体現象が起源だと考えられています。私たちは、その中の1つである「新星爆発」について研究しています。新星爆発は、至近距離で回り合う2つの星のうち、重力が大きい白色わい星に、もう1つの星からガスが流れ込んで温度が上がり、爆発する現象のこと。爆発の際には1億度もの超高温になることから、新星爆発で放出される物質には他の天体では生まれにくい特殊な窒素が含まれます。

  • 新星爆発の想像図(提供:国立天文台)

  • 荒木望遠鏡で、新星が太陽系の原料工場だったことを世界で初めて証明! 私たちは荒木望遠鏡を利用し、ある新星が爆発により放出した特殊な窒素の分量を世界で初めて調べました。すると、その分量は隕石内部から見つかっている太陽系の原料粒子のものと一致したのです。こうして、新星爆発で生まれた物質が太陽系を形成した物質の起源であるということを世界で初めて示しました。今後も観測を重ね、他の新星や、他の元素について確かめ、太陽系の成り立ちを明らかにしたいですね。

  • 新星爆発を荒木望遠鏡に取り付けた分析機器で観測。結果は全て別室のモニタで確認します。

  • FILE 2 偏光分光というユニークな観測手法を用いて新星の謎に迫る!

  • 神山天文台 新崎 貴之 研究員 (本学卒業生)

  • 機動力に優れた「荒木望遠鏡」とのコラボレーションにより突然現れる新星の爆発現象の解明に挑む。 私たちが開発した通称VESPolA※は、天体からの光を1万色にまで細分化しかつ偏光という光の特別な性質を同時に分析することで、直接撮影することができない天体の描像を捉えることができる世界でも稀少な装置です。2013年には高分散偏光分光観測で世界初となる新星の爆発初期の姿を捉えることができ、謎に包まれた新星爆発メカニズムの解明が進むと期待が寄せられています。 ※高分散偏光分光観測装置:Very precise Echelle Spectro-Polarimeter on Araki-telescope の略

  • 2013年に発見された新星:V339 Del(撮影:板垣公一氏) 偏光測定精度0.1%という高精度の壁を超えた世界有数の観測装置。そのため高分散偏光分光観測は日本国内でここ神山天文台でしか成されていない貴重な観測。

  • FILE 3 大宇宙を飛び回る彗星の生い立ちに迫る!

  • 国立天文台・リエージュ大学・JSPS特別研究員PD 新中 善晴博士 (本学卒業生)

  • JAXA・立教大学・東京大学などとの共同研究。宇宙から彗星を撮影し、その正体を探る! 「ほうき星」とも呼ばれる彗星は、実は太陽系初期に作られた氷と塵の塊。彗星は地球上の水や生命に関わりの深い天体です。今回の研究では、彗星から放出された水素ガスの宇宙からの観測により、彗星の水素ガスがひしゃげている様子を世界で初めて確認。現在は水素ガスの詳細な解析を行っており、彗星の本体である核がどう作られるかを解明する手がかりが得られると期待されています。

  • 恒星に比べ水素ガスの形が非対称な彗星。高解像度の撮影により、詳細な解析が可能に。(提供:立教大学)

  • 外国語学部 小林 満教授

  • KSU 宇宙研究コラム イタリア文学が

    イタリア文学では、望遠鏡すらなかった700年以上前から宇宙が描かれた作品が存在しており、ダンテの『神曲』など数多くの名作が残されています。中でも興味深いのが約500年前に書かれたアリオストの『狂乱せるオルランド』。月旅行が描かれ、「地球を飛び立つと次第に月が大きく見え、逆に地球が小さくなっていく」という、実際に宇宙へ行ったかのような描写がなされています。なんと地動説を提唱したガリレオも、この作品が大好きでした。もしかしたら、この作品に影響を受けて、望遠鏡を月に向けた…なんてことがあったかもしれませんね。

  • HOW TO SIGHT STARS 冬空の眺め方

    1 オリオン座を手がかりに、一等星を続々発見! まずは見つけやすいオリオン座を探しましょう。目印はベルトにあたる三星。その延長線上にあるシリウスやアルデバランをはじめ、周囲に一等星を発見できます。

    2 望遠鏡で、星の色や形をじっくり観測。 望遠鏡を使えば、星の色の違いや月のクレーターなどまで見られます。天体観望会では小型望遠鏡での観測もできるので、望遠鏡を持っていなくても大丈夫ですよ!

  • 冬空宝石ハント 冬の夜空には、まるで宝箱のように、明るい星が一年で最も集まっています。そんな初心者にもオススメの冬空観測を、神山天文台サポートチームがガイドします。 一年で最高の星空に出逢おう!

神山天文台サポートチームの私たちと一緒に、Let's天体観測!

  • 神山天文台を知ってもらうために、天体観望会や学外の天文イベントを行っています!

    左から 理学部 3年次生 森木 銀河さん(佐賀県立佐賀北高校出身) 総合生命科学部 2年次生 橋本 唯さん(京都府立南陽高校出身) 法学部 2年次生 安井 瑠一さん(大阪府・関西大倉高校出身)

ぜーんぶ、一等星! 「冬のダイヤモンド」をご覧あれ♪ カペラ(ぎょしゃ座) ポルックス(ふたご座) プロキオン(こいぬ座) アルデバラン(おうし座) リゲル シリウス(おおいぬ座)オリオン座 冬のダイヤモンド  @オリオン座を発見 A三星の延長線上に一等星が2つ! B冬の大三角も近くに! Cオリオン座の北を見上げよう。 冬の大三角 オリオン座のこの形が目印!

星座の全体像を見たいなら肉眼、星を見たいなら望遠鏡がオススメです!

  • じっと見上げていると体が冷えるので、防寒は入念に! TOOLS&CLOTHES 服装・持ち物

    アウターは厚手のものを。インナーにはニットやフリースが必須!

    帽子、マフラー、手袋も忘れずに!

    スマートフォンは、アプリを使えば懐中電灯や星座早見盤の代わりにもなりますよ!

    暖かい飲み物も用意してくださいね!

  • research 下調べ 星座を知れば、観測をもっと楽しめます。

    星座の名前の由来や神話などを調べておくと、観測が楽しくなりますよ! 神山天文台には天体に関する本はもちろん美しい天体写真や最新の研究書もあるので、活用してください。

  • 準備を整えて、冬空観測を楽しもう!

本格的な観測をするなら、ぜひ天体観望会へ!

  • 大迫力の荒木望遠鏡で観測!

  • 神山天文台天体観望会 12/19 14:00〜20:00( 14:30〜クリスマス特別講演会)12/26 18:00〜20:00 2016年 3/19 19:00〜21:00 3/26 19:00〜21:00

    スタンプを集めて神山天文台オリジナルグッズをゲットしよう!

EVENT INFORMATION イベントもチェック!

  • 悠久の時空

  • 星景写真展「悠久の時空(とき)」 天文学者として世界各地の星空を見てきた、星景写真家の大西 浩次氏が厳選した、幻想的で感動的な星景写真を展示!

    期間 2015年11月3日(火・祝)〜 2016年1月29日(金)※休館日を除く

    場所 京都産業大学 神山天文台 開催時間 平日8:45〜16:45 土曜日14:30〜20:00 ※土曜日は天体観望会開催時のみ かっこいい写真タイトルも要チェックです!

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