京都産業大学キャンパスマガジン サギタリウス 2015 Jul. Vol.68

社会で挑戦する卒業生から、次の挑戦者たちへ。 | バトン | BATON in a relay of challenge. ロシア文学・演劇研究者 上田洋子さん 1997年外国語学部 言語学科 ロシア語専修 卒(現 ヨーロッパ言語学科 ロシア語専攻)早稲田大学などでロシア語を教えながら思想家・東浩紀が設立した(株)ゲンロンに所属。書籍出版やトークショー登壇などに携わる。

上田さんの挑戦ヒストリー 在学中 ロシア語を学ぶため入学。4年次にロシアのサンクト・ペテルブルグへ留学し、街の人と交流しながら語学を学ぶ。「どう生きるか」を模索する人たちの中で学べたことが良かったです。卒業後 ロシア文学を研究するため、早稲田大学大学院へ入学。通訳として現代演劇にも関わる。現在 ロシア映画の翻訳の仕事を通じ、潟Qンロンのメンバーへ。チェルノブイリ取材時。政府関係者を含む8名の取材で通訳を担当。

今回の後継者候補 私も質問しました!外国語学部 言語学科 ロシア語専修(現 ヨーロッパ言語学科 ロシア語専攻) 4年次生戸邉 香奈実さん(東京都・品川エトワール女子高校出身)

ロシア語を学んだ上田さんが、今挑戦していることは?私のロシアについての知識を、「日本の力」にすることです。

私は今、出版やトークイベント、ネットでの情報発信を行う会社、ゲンロンで働いています。代表的な仕事は「チェルノブイリの観光地化」の取材でしょうか。原発事故から30年後の現地の取り組みを書籍で発信するため、取材手配、通訳、翻訳として同行しました。現地は未だに危険地域のイメージがありますが、時を経て木々が蘇り、廃炉作業のため働く人がいて街もある…。その現状や観光地化に関わる人の声を伝え、福島の復興につなげることを試みたのです。そのように私が持つロシアの知識を、「現代の日本の力」として還元する方法を模索しているところです。

語学力を生かして働くために必要なことは何ですか?自分から「したいこと」に飛び込んでいくことだと思います。

学生の頃は、この仕事に就くことを予想もしていませんでした。ただ「ロシア語を仕事にする」という目標に向かって挑戦してきたことが、今の道につながったのです。大学4年次にはロシアへ留学。ソ連崩壊後の混乱時に、「これからどう生きるべきか」を見つめ直す街の人々と関わり、私も社会や人生について考えられたのが大きな収穫でした。大学院生の頃は自分で仕事を探して応募し、世界的に有名な演出家の鈴木忠志さんの劇団で通訳を務めました。舞台裏でのロシアの演劇人とのやりとりでは、「意味を伝えるだけ」でなく、「一緒に物事を動かすための言葉」が鍛えられたと思います。

また、ある映画の字幕制作を引き受けた時、トークショーに呼ばれ、そこで今の会社の代表と出会い、チェルノブイリでの取材に関わることに…。ロシア語は日本ではマイナーな言語ですが、確かな語学力があれば様々な世界が開いていくんですね。そして語学を突き詰めるほど、大学で築いた基礎の大切さを実感します。大学の文法の講義ノートは長い間、参考書代わりに使ったほど詳細でしたが、書き込みの一つひとつが、私を支える土台になったのだと思います。

お二人から、バトンタッチ! Q 大学院進学を目指しているのですが、語学のプロとして、外国語を学ぶためのコツを教えてください! A とにかく基礎をしっかりすること、そして自分の苦手を知って確実に克服することです。また語学を仕事に活かすためには、やはり修士課程まで進むことをオススメします。語学を身につけることで、新しい人や物事に出会うことができ、自分の考え方や活動のフィールドも増えていきます。ぜひ、とことん努力してくださいね。

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