京都産業大学 キャンパスマガジン サギタリウス VOL.53
Voice of Sagittarius 経営学部准教授 伊吹勇亮先生
広告会社の経営戦略や組織について研究。 画像
広告会社の経営戦略や組織について研究。
文化にかかわる産業・企業を経営学の視点から考察し、企業の経営戦略や組織の在り方について研究する伊吹先生。「現在は主に広告会社の経営戦略・組織について取り組んでいます。中でも広告物を制作する『クリエイティブ』に着目し、さまざまな角度から研究を進めています」。例えば、広告主となるメーカーの宣伝部門にスポットを当てた研究では、キリンビバレッジ(株)、アサヒ飲料(株)、サントリーホールディングス(株)の飲料メーカー3社の宣伝部門を比較。人事施策や知識の世代間伝承、また広告会社との付き合い方などについて調べた。「伝統的に宣伝部が強いサントリー。広告は一つの手段でしかないと考え、マーケティング活動全体に力を入れるアサヒ。その中間の立ち位置でバランスを取るキリン。といったように各企業の姿勢は異なり、ここからも企業文化や経営戦略の在り方が見えてきました」。
優れたクリエイティブには人の心を動かす力がある。 画像
優れたクリエイティブには人の心を動かす力がある。
「広告会社のクリエイターは、時間に縛られず、自由に仕事をしているというイメージがあると思います。そういった勤務形態がビッグアイデアに結びついていくわけですが、会社としては際限なく自由にさせておくわけにもいきません」。現場ではそのバランスをどのように取り、より優れたクリエイティブを生み出しているのか。現在、さまざまな広告会社の方にインタビューを行い、実情を調べるとともに、組織の在り方の可能性について探っている。「広告には、商品や企業の情報を伝えるという機能的な側面だけでなく、『あの広告面白かったね』といった情緒的な側面もあります。つまり、これは広告に限ったことではありませんが、創造的な作品には人の心を動かす 何か が備わっているのです」。そんな創造性豊かな広告が世の中にたくさん出てくることで、社会は経済的にだけでなく文化的にも豊かになるという伊吹先生。「私自身はクリエイティブ・マネジメントの研究を通じて、そういった社会の実現に少しでも貢献できればと思っています」。
主体的に動き、自分で面白いと思うものを見つけてほしい。
広告に関する研究は数多くあるが、広告会社を対象とした研究はほとんど行われていない。誰もやっていない分野を追究し、一つずつ新しい現実を明らかにしていくことが、研究のやりがいにもなっているという。「そういった学問的な理由とともに、広告業界の方々が人間的に面白く、魅力的なことも、この分野の研究に取り組む大きな動機となっています」。研究などを通じて知り合い、築いた人脈は授業でも生かされ、時にはゼミに特別講師としてお招きすることも。「与えられた仕事をこなすだけではなく、能動的に仕事に取り組み、新しいものを生み出していく。学生が、そんな広告業界の方々に触れる中で、いろんな刺激を受けてくれればと思っています。学生たちには主体的に動き、自ら面白いと思えるものを見つけていってほしいですね」。
先生のもうひとつの顔
先生のもうひとつの顔
ばんばひろふみさんと一緒にバンドをやっていた父親の影響もあり、子どものころから音楽が好きでした。中でも1950年代〜1960年代初頭のオールディーズと呼ばれる音楽が大好きで、聴くのはもちろん、7月には行きつけのバーが主催したチャリティーライブで歌わせていただいたりもしました。
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