新聞広告「変わるチカラ。変えるチカラ。」シリーズ2

変わるチカラ。変えるチカラ。

自分たちがつくった観測装置が 宇宙の進化を解き明かす

LIPS

京都産業大学の神山天文台で、開発を目指すLIPS(Line Polarimeter and Spectrograph)は、望遠鏡に装着し、天体から届く光を1万色に細かく分解して偏光という光の特別な性質を取り出す装置だ。偏光とは耳慣れない言葉ではあるが、最近流行りの3D映画など、我々の周りの様々なものに応用されている光の性質である。宇宙の遠くにある星は直接解像することができないが、星のまわりにある塵やガスに反射した光の偏光と色の情報を分析することで、星や惑星の種となる物質の分布や形状を予測することができる。それが星の起源や進化、ひいては宇宙がどのように生まれて今の姿になったのか、を知る手がかりになる。現在、光の色を1万色にまで分けつつ偏光情報が得られる観測装置は、世界でも数台しか実現できていないという。

 
 

天文学が好き。ものづくりが好き。好きという気持ちが、わたしの原動力。

糸瀬千里さん
(理学部物理科学科
4年次生)

新崎貴之さん
(大学院理学研究科
修士2年)

こうした観測装置の開発に取り組んでいるのが、理学研究科の大学院生2人、理学部生1人、合わせてたった3人のチームだ。一般的に天文学と言うと、望遠鏡をのぞいているイメージがあるかもしれないが、3人が望遠鏡をのぞくことはない。望遠鏡は人間でいう目と同じで、光を集めることしかできないため、集めた光を画像化する、いわば脳の部分が必要となる。天文学はまだまだ分からないことが多い世界。取り組むべきテーマもそれこそ星の数ほど広がっている。しかし、研究したいテーマがあっても、既存の装置では観測すらできないことの方が多い。一つひとつオーダーメイドの装置を自分たちの手でつくるしかないのだ。「学生が中心となって観測装置の開発に取り組める機会は、他の大学ではなかなか得られない。望遠鏡がある京都産業大学だからできる。」とLIPSの設計開発を担当する大学院生の新崎は言う。「大変だけど、自分のアイデアが形になっていくやりがいがある。他大学やメーカーの人たちに意見を求めたり、製造を依頼することもある。まさに将来、産業界で生きていく力を養えていると思う。」

また、データの解析ソフトウェアの開発を担当する学部生の糸瀬は、「元々、天文学とものをつくることが好きだった。その両方を学べるのは楽しい。さらに、京都産業大学では、学生自身がテーマを考えて研究に取り組める。その分、物事を進めていくには、主体性と責任感を身につける必要がある」と自らの成長を実感している。構想から1年半、LIPSの開発はデータの解析手法の確立を残すだけの段階まで来ている。二人は言う。「いつかこのLIPSを使って、新しい発見をしたい」と。

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