第2話 外国人向け観光情報サービス「スマイリンク」

学生の視点から「笑顔」と「友達」にたどりついた

原 光弘(経済・3)

原 光弘(経済・3)

  ITを活用して外国人向け観光情報サービスを提供する―。原 光弘(経済・3)ら14人の受講生は、企業から与えられた、この課題に取り組むことを決めた。社会人基礎力を養うキャリア科目のクラスで、学部・学年の異なる学生たちの挑戦が始まった。

 まず原たちは、ITに関するアイデアを100個出し合ってみた。次に外国人の不満を知るため、留学生にヒアリング。「日本人とあまり触れ合えない」という声のほか、食事や交通への不満が多いことも分かってきた。しかし、それを踏まえてどう進めばよいのか分からない。原はメンバーで唯一の3年次生。2年次生から「どうしたらいいですか」と頼られた。だが、原自身にも道が見えず、「どうすればいいんだろう」と悩む日が続いた。

 そんなとき企業の担当者が「学生にできることを考えてみては」とアドバイス。原たちは、学生ならではの視点が必要なことにようやく気づき始めた。

 学生の「強み」って何だろう。「自由な時間が多いこと」「利益を気にしないでいいこと」…。そうだ。自分たちは外国人観光客と「友達」になれる。不便や不満がすべて解消できなくても、友達としてお互い「笑顔」になれるサービスを考えよう。

 メンバー全員、缶詰状態で考え抜き、ようやく見えてきた方向性だった。

情報サービス通し、外国人との交流の輪を広げたい

  「ITを活用した外国人向け観光情報サービスの提供」という企業からの課題に、「笑顔」「友達」をコンセプトに、突破口を見出した原 光弘(経済・ 3)ら14人。ツイッターで地元の美味しいお店などを紹介する「ネットモ」、外国人との交流会の様子などを配信する「ミートモ」の2つから成る外国人向け観光情報サービス「スマイリンク」を立ち上げた。

 交流会では日本の夏≠味わう流しそうめんや、クイズを盛り込んだ観光ツアーを企画。「日本の食文化に触れられた」「その土地を深く知るきっかけになった」。参加した外国人たちが満足感を口にするたび、原たちは嬉しくてたまらなかった。

 課題に取り組んだ当初、原はリーダーとして年下のメンバーたちへの接し方から悩んだ。指導教員や企業担当者からのアドバイスを受けながら、「メンバーを信頼して、意見をしっかり聞くこと」を心がけるうちに、一丸となって交流会の準備を進められるようになっていた。

 原たちの今の課題は、「もっと京都のことを学ばねば」。文化や歴史を説明できるようになるために、目下、京都検定に挑戦中だ。

 最近、ツイッターに「日本に行ったら京都観光に連れてって」と、海外からの声が届き始めている。向上心あふれる彼らの気持ちは、世界とつながりだしている。

読売新聞朝刊 2010年10月30・31日 掲載

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