平成26年度「第2回全学FD/SD研修会」
(ユニバーサルデザインの講義−すべての学生に受けやすい講義の形とは−)開催

 5月28日(水)、「障がい学生支援推進団体あすか」による主催、教育支援研究開発センター、ボランティアセンター、学生FDスタッフAC燦による共催で、第2回全学FD/SD研修会を開催した。本研修会は、障がい学生を受け持つ教職員が講義での必要な配慮はどのようなものかといった具体的な授業運営の方法について情報を共有し、実務的な疑問を解消することを目的として実施した。

 障がい学生支援に携わる大学教職員の他、盲学校の生徒等、学内外あわせて83名(教員16名、職員15名、学生18名、学外34名)が参加し、会場のラーニングコモンズは大いに賑わった。

 大城光正副学長・ボランティアセンター長の開会挨拶の後、本研修会を主催した「障がい学生支援推進団体あすか」代表の辻悠佳さん(法学部4年次)から本研修会の目的が説明された。その後、本学に在籍する障がい学生が出演するムービーが上映され、本学の障がい学生が講義を受ける姿など学生生活の様子が紹介された。 次に、聴覚障がい学生を受け持った経験のある本学教員3名による模擬授業が行われ、各授業について、障がい学生自らがその授業のわかりやすい点を解説した。

法学部久保秀雄准教授の模擬授業では、辻悠佳さん(法学部4年次)が、① 重要語句をスライドに出す、② 映像に字幕をつける、③ 映画・CMを流し身近な事例を使って説明する、④ 授業の復習を補助する映像をmoodle(オンラインの学習支援システム)にアップするといった授業の工夫を評価した。

 理学部渡辺達也准教授の模擬授業では、迫田亮太郎さん(理学部2年次)が解説を行った。迫田さんのケースでは、教員と学生の間にボランティアセンターが入って必要な配慮を話し合った結果、「これ」「あれ」などの指示語を使わない、講義前に板書ノートを渡す等の配慮がされるようになったとの報告があった。

 法学部耳野健二教授の模擬授業の解説では、板書が多く、しかも板書をしながら話をしない点が聴覚障がいをもつ学生にとってわかりやすいと、解説者の北野美樹さん(法学部4年次)が指摘した。

 以上は聴覚に障害のある学生に対する支援についてであったが、引き続き、障がい全般に対する支援について、グループディスカッションを行った。① ゼミなどの少人数講義での支援方法、② 英語など語学の授業の支援方法、③ 実験での支援方法、④ ユニバーサルデザイン講義の理想という4つのテーマが設けられ、参加者の多様な経験から、障がい学生支援の現場に基づいた議論が交わされた。話し合いの結果は各グループで模造紙にまとめ、最後に全体で共有した。

 続いて、障がい学生(主に視覚、聴覚、発達)を受け持った経験のある本学教員3名が、障がい学生の支援方法について自身の実践事例を紹介した。登壇した教員からは、障がい学生に対して行った配慮であっても、それが結果的に授業改善の一助となり、全ての学生がわかりやすい授業づくりにつながっていることが紹介された。最後に佐藤賢一学長補佐・教育支援研究開発センター長の閉会挨拶で研修会を締めくくった。

 参加者からは、「学生主体で教職員を巻き込んだ研修会を実施することの意義は大きい」、「京都産業大学での障がい学生支援の現状を知ることができて良かった」等の意見が寄せられた。今回の研修会で参加者から寄せられた質問や意見、グループディスカッションで話し合われた内容については、後日『CERADES News』(教育支援研究開発センターニュース)に取りまとめ、参加者へ配付する他、本学ホームページを通じてフィードバックする予定である。

日時 平成26年5月28日(水)13:15〜17:00
12:45〜13:15 (30分) 受付
13:15〜13:20 (5分) 1.開会挨拶
大城 光正氏(副学長・ボランティアセンター長)
13:20〜13:30 (10分) 2.本研修会の目的の説明
・説明者:辻 悠佳(法学部4年次)
本学における障がい学生の在籍状況や、各障がいごとの支援方法の説明を行い、必要とされる支援が多岐にわたることを参加者で共有する。
13:30〜13:45 (15分) 3.ムービー上映
本学に在籍している障がい学生が、自らの障がい・必要としている支援・趣味等を語るムービーを上映する。
13:45〜14:15 (30分) 4.模擬授業 ①(文系)
担当:久保 秀雄氏(法学部准教授)
解説:辻 悠佳(法学部4年次)
14:15〜14:30 (15分) 5.休憩
14:30〜15:00 (30分) 6.模擬授業 ②(理系)
担当:渡辺 達也氏(理学部准教授)
解説:迫田 亮太郎(理学部2年次)
15:00〜15:30 (30分) 7.模擬授業 ③(文系)
担当:耳野 健二氏(法学部教授)
解説:北野 美樹(法学部4年次)
15:30〜16:30 (60分) 8.グループディスカッション
障がい学生支援の課題を各テーマごとに教職員・学生でグループディスカッションをし、発表する。
・テーマ(対象:教職員・学生)
①ゼミなどの少人数講義での支援方法
※手話通訳、パソコンによる文字通訳あり

・テーマ(対象:教職員)
②英語など語学の授業の支援方法
③実験での支援方法

・テーマ(対象:学生)
④ユニバーサルデザイン講義の理想
16:30〜16:55 (25分) 9.質疑応答
質疑応答の前に、他の障がい学生を受け持った先生から、「どのように配慮されたのか」のお話を聞く。

・登壇者:
①吉永 一行氏(法学部教授):少人数クラスでの支援方法
②山田 勝裕氏(経済学部教授):発達障がい者への支援方法
③米原 厚憲氏(理学部准教授):視覚障がい者への支援方法
16:55〜17:00 (5分) 10.閉会挨拶
佐藤 賢一氏(学長補佐・教育支援研究開発センター長・総合生命科学部教授)
場所 ラーニングコモンズ パフォーミングスペース(雄飛館2階)
対象 本学教職員(非常勤講師を含む)、本学学生、その他他大学教職員等
主催 障がい学生支援推進団体あすか
(他大学との情報交換・課題の共有を目的としたワークショップを通して、京都産業大学における障がい学生支援の状況を客観的に把握し、改善を促すことを目的とした学生団体であり、障がい学生支援の周知といった啓発活動も行っている。)
共催 教育支援研究開発センター、ボランティアセンター、学生FDスタッフAC燦
参加者数 83名(内訳:教員16名、職員15名、学生18名、学外34名)
  • 「障がい学生支援推進団体あすか」
    代表辻悠佳さんによる研修会の目的の説明

  • 研修会では、障がい学生が受ける授業同様、
    PCテイカーの学生が活躍した

  • 障がい学生を受け持った経験のある
    本学教員による模擬授業

  • 模造紙・付箋・ホワイトボードを利用し、
    グループディスカッションが行われた

  • 各グループでの話し合いの結果は、
    全体で共有された

  • 付箋に書かれたアイデアをグループ化し、
    流れが見やすくまとめられた模造紙

お問合せ

京都産業大学 学長室(教育支援研究開発担当)
E-mail:kyoiku-shien-center@star.kyoto-su.ac.jp
Tel.075-705-1729

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