昆虫は、植物の花と実を作る仕組みをハイジャックし「虫こぶ」を作っていることを解明

本研究成果は、国際学術誌”Frontiers in Plant Science”にオンライン掲載されました。

研究概要

図1
ヌルデの葉の基部にヌルデシロアブラムシによって作られた虫こぶ(五倍子、ヌルデミミフシ)9月中旬ごろ京都にて撮影。

虫こぶは、アブラムシなどの虫こぶ形成昆虫が、植物の葉や茎などの分化した器官に寄生して作る特異な形状の器官です。
昆虫は、自分のすみかや食料にするために虫こぶを作ります。これまで、虫こぶ形成昆虫が宿主である植物に虫こぶを作るメカニズムは全く明らかになっていませんでした。
京都府立大学の佐藤 雅彦 教授ら、および、京都産業大学の木村 成介 教授らの共同研究グループ*は、アブラムシの一種であるヌルデシロアブラムシがヌルデに形成する虫こぶ(五倍子、ヌルデミミフシ)について、RNAシークエンス法を用いて網羅的に解析しました。
その結果、虫こぶが形成される際には、植物の花と実を作る際に働いている遺伝子群が利用されていることを明らかにしました。本研究の成果は、人工的に誘導した虫こぶ様器官に有用物資を蓄積させる技術の開発などにつながる可能性があります。

掲載論文

論文タイトル Reprograming of the developmental program of Rhus javanica during initial stage of gall induction by Schlechtendalia chinensis
掲載誌 『Frontiers in Plant Science』
DOI 10.3389/fpls.2020.00471
著者 Tomoko Hirano, Seisuke Kimura, Tomoaki Sakamoto, Ayaka Okamoto, Takumi Nakayama, Takakazu Matsuura, Yoko Ikeda, Seiji Takeda, Yoshihito Suzuki, Issei Ohshima and Masa H. Sato*

謝辞

本研究は、平成27年度 戦略的研究基盤形成支援事業「植物における生態進化発生学研究拠点の形成-統合オミックス解析による展開-」の支援を受けて実施されました。
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