2019年度「若泉敬記念基金」懸賞論文入選者の発表

2020.03.18

「若泉敬記念基金」懸賞論文は、長年にわたって世界問題研究所所長を務めた故若泉 敬 教授の寄付をもとに設置された「若泉敬記念基金」の活動の一環として行われているもので、今年度は、「今日の世界問題に関するテーマを各自で設定し、副題をつけて論じる」というテーマで論文を募集しました。18篇の応募があり、二席3篇と佳作2篇の計5篇が入賞しました。入賞者は次の方々です。おめでとうございます。

一席

該当なし

二席

淺田 慎子さん
(外国語学部・4年次)
「平和構築期における『無党制民主主義』の有用性——ウガンダを事例に」
林 貫太郎さん
(外国語学部・4年次) 
「『保護する責任』概念の実践における限界と挑戦——ウイグル問題を事例に——」
野田 繭子さん
(法学部・4年次)
「人間的否定性」

佳作

小林 貴也さん
(外国語学部・3年次)
「経済発展と生物多様性保全の両立の可能性:エコツーリズムの視点から」
竹内 真里奈さん
(外国語学部・4年次)
「トルコにおけるクルド人問題解決のためのブーメラン効果」

全体講評

今年度の若泉敬記念基金懸賞論文への応募総数は18篇でした。これは過去最多です。その内訳を所属別にみると、外国語学部国際関係学科から15と多数の応募があり、その他、外国語学部ヨーロッパ言語学科1、法学部から2となりました。また学年別にみると4年生15、3年生3となります。応募者の多くが大学における勉学の集大成として懸賞論文に取り組んだことがうかがえます。
何よりもまず応募学生の積極性と果敢なチャレンジ精神を高く評価します。さらにこれらの学生を指導し、その向学心や勉学意欲を高めるために努力を惜しまなかった教員各位に厚く御礼申し上げます。
テーマの選定、論旨の明確さ、文章力、文献の検索能力とその活用法などを総合的に判断し、全体として高水準であったと評価し得ます。特に取り上げたテーマはそれぞれに現代世界の喫緊の課題と直結したタイムリーなものでありながら、事実関係を表層的に追うたぐいのものでなく、より根底的な問題関心から分析している点に好感が持てました。
この18篇のなかから特にすぐれた論文5篇を入選としました。第一席はなしとしました。これは、論の展開や結論の独創性において際立って優れた論文が見出せなかったこと、一次資料を十分に活用して論旨をくみたてた論文が多かったことは評価できましたが、本や論文の引用が多くなかったこと、更に参考文献について日本語のみならず外国語の資料をより積極的に活用してほしかったこと等によります。
残念ながら入賞に至らなかった方々も、今後も様々な世界問題に関心を寄せ、深く洞察する力を養ってください。在学生の皆さんはぜひ次年度も積極的に応募してください。

世界問題研究所長 東郷 和彦
同研究所員 河原地 英武

若泉敬記念基金

若泉 敬(わかいずみ けい 1930-1996年)国際政治学者。東京大学法学部、ロンドン大学院卒業。1965年に本学教授として招聘され、1966年世界問題研究所所員となり、1970年から1980年まで同研究所 所長を務める。1992年退職時には退職金の全額を同研究所の活動資金として寄付、同研究所では2001年にこれを「若泉敬記念基金」と命名。若者の教育に熱心だった若泉教授の精神を学生に還元するため、講演会開催、懸賞論文募集などの経費に運用している。
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