理学部宇宙物理・気象学科の二間瀬 敏史 教授が新しい論文を出版しました

2019.07.17

成果

理学部の二間瀬 敏史 教授は、弘前大学の葛西 真寿 教授と共同研究を行いProgress of Theoretical and Experimental Physicsから新しい論文を出版しました。

掲載論文

題目:A possible solution to the Hubble constant discrepancy -- Cosmology where the local volume expansion is driven by the domain average density
著者:葛西 真寿、二間瀬 敏史
掲載誌:Progress of Theoretical and Experimental Physics, Volume 2019, Issue 7, July 2019, 073E01

https://doi.org/10.1093/ptep/ptz066
オープンアクセスのため、どなたでもダウンロード可能です。

背景

宇宙の膨張の度合いを表すハッブルパラメーターという量は、宇宙の進化を記述する根源的な物理量の一つとして、様々な観測を用いて測定されてきました。近年、ビッグバンの痕跡である宇宙マイクロ波背景放射で測った大きさと、超新星爆発を用いて測った大きさに観測誤差では説明が困難な食い違いがあることが明らかになり、非常に注目を集めています。どちらかの観測が誤っているのでしょうか、それとも背後に新しい物理が隠れているのでしょうか。

研究概要

この論文で二間瀬教授らのグループは、一般相対性理論的な宇宙の摂動論という確立された計算手法に加えて、宇宙の観測可能領域が有限であることと宇宙のわずかな非一様性を考慮した理論計算を行いました。その結果、宇宙マイクロ波背景放射と超新星爆発という異なる手法で測られているハッブルパラメーターがどちらも間違いではなく、ただ観測しているスケールが異なるために一見矛盾した結果になる、という可能性を指摘しました。
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