京都文化学科「おもてなし文化論」で「たん熊本家」女将 栗栖 晴子氏が講義

2018.12.12

京都文化学科では、茶道、華道、老舗旅館、料理屋、ホテルなど各界の第一線で活躍する方々をゲスト講師として招き、各界におけるおもてなしの具体例や精神等、生きた教訓を学ぶ「おもてなし文化論」(担当:吉澤 健吉 教授)を秋学期に開講しています。
12月12日(水)は、「本家たん熊」女将の栗栖 晴子氏をゲスト講師にお招きしました。「本家たん熊」は昭和3年に創業、食材を活かした「もんも(まんま)な料理」とお客様一人ひとりへの温かいおもてなしで、長い間、有名人をはじめ多くの人に愛されています。
終始笑顔で、美しい立居振舞の栗栖氏
この日の講義は吉澤 教授が聞き役になって、対談形式で行われ、初めに「小さいころから、上手いこと言って周りの人をまとめるのが得意だったのですよ」とご自身を紹介された栗栖氏。元々はピアノの講師をされていたところ、ご結婚を機に老舗料亭の女将としての道を歩むことになられたそうです。
日々お客様をおもてなしする上で、室礼やお料理、着物など事前に用意できるものと、お客様のご機嫌や座敷での話術といった即興で対応が求められるものとがあると指摘。
事前の用意については、お客様の予約の電話から、どのような方がどのような目的で利用されるのか良く聞き取ることでおもてなしが始まるそう。その内容に合わせて、掛け軸やお部屋、生け花や着物を整え、おもてなしの準備をします。
季節やお客様の用途に合わせて帯や着物を選ぶ。この日はサンタの描かれたクリスマスの染帯
また、栗栖氏や仲居さんはお得意様の食事の様子から好みを記録し、次回のおもてなしに活かしておられるそうで、特にお客様からご要望が無くてもお料理の変更をしたりすることも。
お客様が到着されてからのおもてなしにはマニュアルはなく、お部屋に入って、ぱっと感じる空気で、どうおもてなしするのがよいかを読み取ることが重要。おなかを空かせて到着されたお客様にはご挨拶は後回しにしてとにかく料理をご用意、会話のはずんでおられるお席では敢えて話には入らず控えめに、など瞬時に察して空気をよむことが大切と指摘されました。
最近では、ニーズが高まりつつあるイスラム教のハラール料理やユダヤ教のコーシャ料理に対応したり、各国の言葉を覚えてご挨拶されるなど、老舗の伝統を残しつつも時代の変化にも対応したおもてなしを取り入れておられるそうです。
また、結婚を機に境遇が大きく変わる中でも、趣味や気分転換の時間を大切にしてこられたご自身の体験をもとに、「仕事によってはお休みがなかなかとれなかったりもしますが、しんどいことばかりではなく、自分の工夫次第で息抜きをしたり、時間をつくることはできます。自分のやりたいことをあきらめないで。」と女子学生へエールを送られ、学生たちの共感をよんでいました。
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