世界問題研究所・上海社会科学院/国際ワークショップ 『日本発の「世界」思想』開催報告

2018.11.17

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トピックス研究

世界問題研究所は上海社会科学院を訪問し、2017年に出版した『日本発の「世界」思想』に関するワークショップを行った。

11月17日(13:00~18:00)『日本発の「世界」思想』プログラム

開会挨拶 劉 阿明(上海社会科学院国際合作処副処長、研究員)
挨拶及び
文献紹介
東郷 和彦(世界問題研究所長)
報告1 「無からの包摂」哲学と「世界」問題
-世界的経済循環における中国内生的経済周期:西田哲学による解釈岑 智偉(経済学部教授)
コメント1 傅 鈞文(上海社会科学院世界経済研究所研究員)
報告2 「間」としての公共
-産官学民連携による公共性の創造
中谷 真憲(法学部教授)
コメント2 趙 蓓文(上海社会科学院世界経済研究所副所長)
報告3 「和」としての外交
-力の対立と文明の相克
東郷 和彦(世界問題研究所長)
コメント3 劉 阿明(上海社会科学院国際合作処副処長、研究員)
閉会挨拶 岩本 誠吾(副学長、法学部教授)

劉 阿明副処長の挨拶に始まり、東郷所長から『日本発の「世界」思想』は、「根としての哲学(無)、幹としての公共(間:あわい)、枝としての外交(和:やわらぎ)」の三部から構成されていることが説明された。

続いて岑教授が西田哲学の「絶対無」という考え方から、「公共」を独自に再定義し、その概念に即して、経済循環を論じた。傅 鈞文研究員は、「有無の場所という考え方は中国にもあり、日中に文化的共通性があることが分かる。老子の哲学では、天地は有から生まれ、有は無から生まれる。もし中国が『運命共同体』を促進していくならば、世界との対話の中で、互いを認め合う姿勢、老子の『互いを包摂する』という言葉を思い出す必要がある」とコメントされた。

中谷教授は、主客分離に基づく西欧的なロゴスとしての人間理性と対比しながら、日本的な主客を包摂する「無」、人と人、人ともの・ことの「間」に生ずる多重の関係性についての実践例を報告した。中谷報告に対して趙蓓文副所長は、①中国でも「和解」という言葉で、人と人、人と自然・環境が調和する持続的な成長が唱えられている。また、②色々なものが合流するが、同じではなく各々が特徴的であることを前提としつつ、東洋文明には「相手を包み込む」考え方がある。③これらのことから、win-winという考え方が出てくるが、これによって長期的な関係を築くことができる。④具体的には、産官連携のような形で「間(あわい)」=「繋がる」が重要な意味を持ってくる。⑤たとえば「一帯一路」では、国営・民営・外資系企業が一緒に発展していくという考えがあり、通じるところがあるのではないか、と5つの点について述べられた。

東郷所長は横井小楠の富国・強兵・士道からなる『国是三論』から、士道が中国古来の「王道政治」から来たものであることを述べ、日中間の「和(やわらぎ)」の外交の可能性について報告した。劉阿明副処長は、「和(やわらぎ)の外交」を概念的なものとしてだけでなく、具体的な事例に即して話されていたのが印象的であったとし、①国際関係は国家「衝突」、リアリスト的視点が主流であるが、日本の哲学から国際関係を見るというのは新しい視点であること、②米中の衝突は、民主主義かそうでないかというような制度的な要因に起因すると説明する向きもあるが、調和・つなぐ、という観点から新しい認識の可能性が示唆されたこと、③とはいえ、中国は規模が大きく、他国との違いも多いため、win-winを強調しているが課題もあり、「和の外交」を中国でも実践することは可能か、と問いかけられた。

最後に岩本副学長から「運命共同体、win-win、協調などのキーワードが出てきた。これらをもとにさらに議論を深め得るのではないか」と総括された。

東郷所長
劉 阿明副処長
岑教授
傅 鈞文研究員
中谷教授
趙 蓓文副所長
岩本副学長
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