さくらサイエンスプラン支援 韓国 江原国立大学との研究交流を実施

未来の農業を担う韓国大学生の,最先端生命科学との交流

国立研究開発法人科学技術振興機構 さくらサイエンスプランの支援を受け、江原国立大学(韓国)動物生命科学部、動物生物工学専攻の4回生4名、大学院生5名、研究員1名と教員1名(Seunghyung Lee, イ スンヒョン 教授)が来学し、7月26日から8月3日までの10日間、研究活動を行いました。

生命科学研究科(総合生命科学部)では、生命科学分野における高度な専門知識と技術を屈指した研究活動をおこない、国内外より、研究レベルが非常に高いとの評価を受けています。(2015年にはネイチャーサイエンス論文掲載数が国内私立大学ランキング第1位になったこともその証拠となっています)。

本プログラムでは生命科学に関わる4つのコースを設定しました。そのいずれの内容も国際的に高く評価されているテーマを設定しており、特にアジア諸国では実施が困難な高度な設備を用いた実験が含まれています。

江原国立大学・動物生命科学大学(学部)は、農学系学部では韓国一広大な敷地を持ち、卒業生は、韓国だけでなくアジアの未来の農業を担うと嘱望されています。本プログラムでは、韓国側の畜産、飼料や動物性食品等に関する教育や応用研究に、国内外から高く評価されている本学の生命科学系の基礎研究を融合し、農業を生命科学に近づけることで、「我々が食する食品」と「影響を受ける生命」を共に理解出来る学生、「未来の研究者」を育てることを目指しています。それゆえ、本プログラム終了後は、大学院生としての留学、研究交流による再来日を計画しています。
7月26日(木)10名の研究員・学生とイ スンヒョン教授が15号館前にて

プログラム

学生たちは、4つの研究プログラムのコースA~D に分かれて、最新の技術研究を体験しました。各コース当たり2研究室の教員、若手研究者(研究助教、ポスドク、客員研究員)や大学院生と共に実験に取り組みました。
(7月26日(木)~ 7月29日)

プログラムA. 生細胞内カルシウム動態の観察

細胞内カルシウムイオンは様々な生命現象のセカンドメッセンジャーとして非常に重要です。今回、我々は細胞内のカルシウム動態をFRET依存的な蛍光カルシウムセンサーYellow Cameleonで観察し、細胞内の1分子の活動動態を解析しました。

プログラムB. アフリカツメガエル卵のプログラム細胞死(アポトーシス)とCRISPR/Cas9を用いたゼブラフィッシュ初期胚のゲノム編集

アフリカツメガエルの卵形成、卵成熟、受精および初期発生について、アポトーシスを起こす細胞を蛍光で追いながら、発生の動態を観察しました。また、CRISPER/ CASのシステムを用いることで、ゼブラフィッシュ初期胚のゲノム編集をおこない、目的の遺伝子発現を欠失した個体を選別しました。

プログラムC. 回転分子モーターの1分子観察とギブソン・アセンブリー改変法

自然界には V1 F1の二種類のATP駆動性モーターが存在します。今回、V1 を精製し、その精製したV1の回転を顕微鏡下で観察しました(1分子回転観察法)。また、V1やF1といったモータータンパク質を精製するには、その遺伝子をクローニングする必要があります。ギブソン・アセンブリーは、最近開発されたin vitro相同組換え法であり、クローニングに有用です。このコースでは、さらなるコストの削減のために、このギブソン・アセンブリーを改変することも体験しました。

プログラムD. マウスの胚操作とIn situハイブリダイゼーション組織化学法

ゲノム編集を施したマウスの受精卵を卵管に戻すと、卵は発生が進み、子宮の胎盤の中で胚が生育します。このコースでは、マウスの精子と未受精卵を採取して体外受精を行いました。翌日に受精卵を分離し、胚盤胞まで培養しながら着床前胚の胚発生を観察しました。また、ゲノム編集を受けたマウスの組織中で発現するmRNAを細胞レベルで観察することがあります。今回、RNAプローブを使用したIn situハイブリダイゼーション組織化学法を試み、脳組織および、唾液腺組織切片における遺伝子の発現を観察しました。

京都観光 (7月30日 日曜日)
金閣寺、二条城、清水寺を回り、京都の文化を満喫しました。夜には、下鴨神社の「みたらし祭り」に参加し、日本の夏祭りを体験しました。終始、京都産業大学の学生を交え、交流を深めることができました。
島津製作所メディカルセンター・サイエンスプラザ見学(7月31日)
午前中は各自実験を行なった後、12時半に総合生命科学部玄関前に集合し、島津製作所に向かいました。各種クロマトグラフ、質量分析計、光分析機器といった分析機器を見学し、日本発の製品技術について説明を受けました。

成果報告会、修了式 (8月2日)
プログラムの最終日にはポスターセッションを行い、来学した韓国からの学生と、それぞれのコースの担当教員所属研究室の学生が、各自の研究内容をポスターにして発表しました。ポスターの前では、英語による3分間の口頭発表も行いました。を行うと共に、ポスターを通じて互いの研究成果について議論しました。
次いで、韓国からの学生と本学の学生研究員よる座談会を行い、今回のプログラムが、双方にとって充実した貴重な経験であったことをお互い確認し、さらなる交流に期待の声があがりました。

すべてのプログラムの終了後、総合生命科学部寺地 徹学部長より、学生一人一人に修了証が授与されました。

ポスターセッション
本学学生との京都観光にて
修了式での集合写真

さいごに

JSTのアンケート調査より、全員がプログラムの内容に非常に満足しており、研究室内での活動が印象深いものであったと語ってくれました。また、来日を切実に願うと共に、今後日本の大学で研究したいと記載してくれました。来学した韓国からの学生の代表的な声を幾つか以下に記します。

Dr. LEE Sanghee イ サンヒ Ph. D
I very interesting about the sakura science program. Especially, learning of new science program is very impressive for me. I think that learning about new knowledge, study, people and other something is important to increase our research level. In this view point, the science program is very good for our student containing of me. If I have a change, I should work with this university such as co-work program and post-doctoral fellow. Thank you for science program of Kyoto Sanyo University.

Mr. KIM Min Seong キム ミンソン
Actually, before I came to Japan this time, already I thought to come to Japan to go to graduate school. So it was so good time for me. All of professors and students were so kind and studied hard together. Now I decide to come to Japan several years later, to study my MD. Thank you for JST program and all of professors and students.

Mr. PARK Geunwoo パク グヌ
This exchange program is so amazing in that we can learn many developed way of the experiments and how to use the tool. And even we can learn about the Japanese personal manner, which was very warm and friendly and a very wonderful responsibility. I didn't know well about the molecular biology but now I can do experiment little bit and know what they are doing in the laboratory. This field is really needed to be known many area and still need a lot of experiment. Also, the sightseeing was very amazing and beautiful. If I have a chance to come to kyoto again with this program, I am really willing to come again, and more specifically work in here, and would make many friends.
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