文化学部 下出 教授が「京あるきin東京」において特別講義

2017.03.05

2月4日~3月5日の1か月間、京都市による京都創生PR事業「京あるきin 東京」が行われ、都内の各所で、京都の歴史、景観、伝統産業、観光など、京都の魅力を伝えるイベントが開催されました。イベントの一環として京都の13大学が行う「京都の大学による特別講座 京の知を深める三日間」に京都産業大学も参加し、3月5日に、文化学部 下出 祐太郎 教授が、京都造形芸術大学・東北芸術工科大学外苑キャンパス(東京都港区)で講演を行い、京都文化に関心をもつ約100人が参加しました。

京蒔絵師であり、下出蒔絵司所の3代目として伊勢神宮式年遷宮御神宝蒔絵や京都迎賓館 水明の間の飾り台「悠久のささやき」などを手がけた下出教授は、「ヨーロッパの王侯貴族に愛されたjapan」と題し、ヨーロッパの大航海時代に日本へやってきた宣教師からヨーロッパへと伝わり、王侯貴族たちを魅了した「japan(漆器)」、特に京蒔絵漆器について具体的な制作工程を含めて解説しました。

下出教授は、漆の最古の出土品は日本で発見された紀元前7000年ごろのものであることや、漆の特徴、日本独自の技術で文様を描いた後に金銀粉などを蒔き付ける「蒔絵」など、漆器や京蒔絵の基礎知識についてクイズを交えながら紹介しました。また、高台寺霊屋内陣秀吉厨子扉の蒔絵を最新技術で分析し、復元的制作蒔絵屏風「芒に五七桐紋散らし」「源氏雲に菊楓五七桐紋散らし」を制作した工程を詳しく解説し、ヨーロッパでの講演活動から、今も海外から高い関心が寄せられていることなどを講義しました。

講義のなかで下出教授は、470年前にヨーロッパの人々を驚かせた技術である京蒔絵は、漆という天然素材を用いた手仕事と自然観に根ざした美意識が現在も継承されおり、その無形の伝統技術のすばらしさを伝え、これからも継承していく重要性について語りました。また、漆器の需要がないために、職人を希望する若者がいても産業として成り立たちにくくなっている現状など「手仕事の産業の在り方」についても言及しました。

職人でもあり研究者でもある下出教授ならではの講座内容で、講座が終わってからも参加者からの質問が行われるなど、盛況のうちに講座を終了しました。
自身の研究内容を紹介する下出教授
「漆」の基礎知識についてのクイズが行われ、受講生も積極的に参加した
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