「熊本地震復興支援ボランティア」活動報告

2016.12.05

ボランティアセンターでは、株式会社名門大洋フェリーさま、阿蘇ホテルさま、南阿蘇ヘルプセンターさまにご協力をいただき、熊本県南阿蘇村での復興支援ボランティアプログラムを実施しました。

実施日程 2016年12月2日(金)夕方~5日(月)朝
活動場所 熊本県阿蘇郡南阿蘇村
参加者数 学生18名+引率スタッフ2名

12月2日の夕方に大阪南港をフェリーで出発し、北九州新門司港からバスで南阿蘇村に向かいました。
12月3日と4日の二日間、南阿蘇村でボランティア活動を行い、5日の朝に大阪南港に帰着しました。
活動は、農業支援を中心に、草刈りなど多くの人手を必要とする作業のお手伝いをしました。活動場所は、地震の影響で閉鎖されている東海大学阿蘇キャンパスの近隣でした。見渡す限りの建物が倒壊し、主に一階部分が押しつぶされていました。そして、外に散乱したままの状態の荷物を見て、その建物が実は自分たちと同じ学生たちが暮らしていた下宿であったことに気づき、学生たちは言葉を失っていました。想像を超える被害の様子に、大きな衝撃を受けていました。

南阿蘇村被害状況1
南阿蘇村被害状況2
南阿蘇村被害状況3

活動内容

12月3日(土)

活動一日目は、小学校や個人宅の草刈りに取り組みました。ほとんどの瓦が落ち、室内は家具が倒れています。今でもほとんどの住宅に住民が戻ることができません。それでも、ずっと暮らしてきた家や思い出の小学校が草に覆われていくのは忍びない、しかし、そこまで手が回らない、というのが現状だそうです。
最初は「何のために草を刈るんだろう」と考えていた学生たちも、被害を受けた方々のふるさとへの思いを知り、そのしんどさに思いを馳せるきっかけになりました。
1日目活動の様子1
1日目の活動2
1日目の活動3
作業終了後、阿蘇山の山肌が一際大きく崩れている現場を見学しました。幅140m、高さ350mにも及ぶ土砂崩れは、阿蘇大橋をのみ込み、一台の黄色い車をのみ込み、谷底へと流れ込んでいきました。黄色い車には、一人の大学生が乗っていました。この地震における唯一の行方不明者であった彼の遺体が見つかったのは、初盆を迎える頃だったそうです。道路が寸断され、崖下が大きく落ちている景色に、地震の被害の大きさを実感させられました。

12月4日(日)

活動二日目は、大雨に見舞われる中、塩井社水源を見学しました。この水源地は、地域に豊かな水を供給してきましたが、今回の地震で水が湧き出てこなくなってしまいました。古くから水源地に祀られてきた神社も土砂にのまれてしまったとのことです。途中にある鳥居も倒れたままになっていました。
見学のあと、ビニールハウスで、収穫の終わったトマトの支柱の取り外し作業を行いました。農家の方は収穫がある間は忙しく、地震で散らかった家に手をつけることができなかったそうです。農作業のお手伝いすることで、「自分たちの家の片づけにようやく取り組める」と話されていました。学生たちは、阿蘇山の噴火の影響でところどころ破れてしまったビニールハウスの中で雨に打たれながら、支柱を外し、まとめて紐えくくる作業を行いました。ぬかるみに足を取られながら支柱を運び、6棟分の支柱の片づけを完了しました。

2日目の活動1
2日目の活動2
2日目の活動3
地震から7ヵ月以上が経過した今でも、南阿蘇村には被害の爪痕が強く残されたままでした。倒壊した建物は、まだ家具も残されたまま、解体することもできずそのままにされています。しかし、解体業者の不足やゴミ処理の問題で、思うように作業が進まないという現実があります。
トンネルや道路の崩落など交通手段の寸断により、地元住民は買い物や病院に行くために隣町に行くだけでも、大きな負担に感じています。また、観光など地域に根差した産業は、災害への懸念や風評被害などにより、甚大なダメージを被っています。農家は地震があったからといって作物の植え付けや収穫を止めることはできないため、農作業がある間は自分の家の片づけにも着手できないほど忙しい、という現実もあります。
今回は直接的な支援活動ではなかったものの、農作業支援など被害を受けた地域に暮らす人たちの暮らしを支える活動を通じて、学生たちは復興の助けになったという実感を得ていました。また、支援に携わる方々との交流を通じて、人々が抱えている不安や見えにくくなっている課題を知る機会になったのではないかと思います。

参加した学生の声(アンケートより)

テレビで見るものや、イメージはあくまで憶測にすぎないが、実際にその現場を見ることによって本当の被害を見ることができ、これからも忘れずに復興支援を続けていくことの重要性を感じた。
自分のやれることには限界がある。でも、現場を見れたからこそ伝えられることはたくさんある。「頑張ってほしい」と他人事になるのではなく、共に頑張る、少しでも力になれることを考えて今後活動していく必要がある。
実際に熊本に足を運んだのは初めてで、ボランティアとしても、観光としても知らないことだらけでした。実際に行くことの大切さを身に染みて実感しました。今後は身近な人からこの現実を伝えたいと思います。
復興はこれからだと思い、私たちが見た現状を伝えていきたいと考えます。風化させたくないと思い、忘れないでほしいという思いが強いです。
今回の熊本で知ったことは、見えていなかったのか見ようとしていなかったのか考えさせられた。東北も熊本も自ら情報を集めていこうと思った。
被災地復興で、ボランティアという一般の人ができることは限られているけれど、どのような形であれ役に立てるので、参加することが大事だと感じた。また、しっかりと現地を見て伝えることが大切だと感じた。
参加した学生たちは、メディアではほとんど取り上げられることがなくなった熊本の現状を目の当たりにし、それを他者に伝えていく必要性を強く感じていました。また、今回だけでなく、復興までのプロセスに長期的に関わっていきたい、という思いを持っていました。
ボランティアセンターでは、現地の復興の状況や支援に関する情報の発信など、今後も熊本に対する支援活動を行っていきます。そして、「現状を伝えたい」という学生の思いを実現するための場づくりに協力したいと考えています。
お問い合わせ先
京都産業大学 ボランティアセンター 13号館B1階
〒603‐8555 京都市北区上賀茂本山
Tel.075-705-1530
Fax.075-705-3191

開室時間
平日:9:00~16:30(13:00~14:00を除く)
土曜:9:00~11:45※不定期に閉室することがありますので、事前にお問い合わせください。
日曜・祝日:閉室
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