京都文化学科「京都の宗教」で比叡山延暦寺 高山 良彦(りょうげん)氏が講義

2016.12.02

京都は天台宗、真言宗といった平安仏教から、臨済宗、浄土宗、浄土真宗といった鎌倉仏教までの総本山が集中する日本の伝統仏教の中心地でもあります。
文化学部京都文化学科では、それらの本山を開いた祖師たちの歴史から、比叡山の千日回峰行、禅宗の僧堂修行などの観光客には見えない世界、葬儀や檀家制度の問題など伝統仏教の抱える問題までを一歩踏み込んで考察する専門教育科目「京都の宗教」(担当:吉澤 健吉 文化学部教授)を秋学期に開講しています。
比叡山横川の看経行について解説する高山氏
12月2日(金)の授業では、天台宗総本山・延暦寺戒光院住職の高山 良彦(りょうげん)氏をゲスト講師にお招きしました。
高山氏は福岡県の出身で、同志社大学の学生時代に比叡山延暦寺を訪れて発心、僧侶の道に入ったという異色の経歴。比叡山中興の祖、元三大師良源(がんざんだいし・りょうげん)の住居跡である横川(よかわ)の元三大師堂の輪番として、比叡の三地獄のひとつである修行「看経行(かんきんぎょう)」を自身で行った経験から、冬は厳寒の横川の自然条件から、朝から晩まで法華経を唱える看経行の厳しさまでを、体験した人ならではのエピソードをまじえて紹介されました。
高山氏の講義に熱心に聞き入る学生たち
続けて、「仏教は『苦』から発祥している」として、何をもって『幸』とするかについて説かれました。幸せとは、心身ともに健康であること。程よい金銭があること。美しいことに感動できること。また豊かな人間関係が築けていることなど、数々の『幸』の定義を挙げられました。また、「精進」という仏教用語から、物事を続けることの大切さについてお話されました。延暦寺の根本中堂には1200年もの長きにわたって受け継がれている「不滅の法灯」があり、油を絶やしてはいけないということから「油断大敵」という言葉が生まれたことも紹介しました。続いているということは良いことのあかしであり、何事においてもモチベーションを持ち続けることが大切だとお話されました。
最後に、実際にお経を独特の節回しで詠まれ、学生たちに「常識を超えて、新しいことにチャレンジをしてください」というエールとともに講義は幕を閉じました。
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