文化学部京都文化学科 専門教育科目「京の食文化論」で京菓子司「末富」主人 山口 富藏氏が講義

2016.07.04

「末富」の和菓子を投影しながら解説する山口氏
文化学部京都文化学科では、第一線で活躍する京の料理人をゲスト講師として招聘し、世界遺産に認定された“和食”の生きた魅力を考察する「京の食文化論」(担当:吉澤 健吉 教授)を春学期に開講しています。
7月4日(月)は、京菓子司「末富」社長の山口 富藏氏をお招きしました。
茶の湯による和菓子の成り立ちのほか、お茶が苦いがゆえに甘い和菓子を一緒に食べるのではなく、白砂糖とお茶のいずれも“舶来”のものを食すという公家文化の贅沢が由来であることなど、その背景についても触れました。また、菓銘(お菓子の名前)で季節・風景・情景・心情などを表現する「見立ての美しさ」について、さまざまな和菓子の写真を投影しながらわかりやすく説明しました。
和菓子はたんなるスイーツではなく、お客をもてなすための大事なもので、和菓子の使い手のおもてなしの心が通じるようにとの気持ちを込めて“作らせてもらう”ことが自分たち京菓子司のつとめである、と京都を代表する京菓子司としての山口氏の矜持が感じられる言葉で講義を締めくくり、学生たちは時間のたつのも忘れて熱心に聴き入っていました。
にこやかに穏やかに、時折ジョークも交えながら語り掛ける山口氏の親しみやすいトークに、学生たちは終始集中し、楽しく貴重な講義となりました。
菓銘「唐衣(からごろも)」
“唐衣(からころも) きつつなれにし 妻(つま)しあれば はるばる来ぬる 旅(たび)をしぞ思ふ”
(伊勢物語 在原業平)
歌の区切りの文字を繋げると“かきつばた”となる。
菓子のかたちは“かきつばた”、菓銘は“唐衣”。この菓子を食すことで歌の作者、在原業平をも想起する、という奥深さがある。
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