総合生命科学部 バイオフォーラム2015開催報告(1月22日)

1月22日(金)15号館15102セミナー室において、総合生命科学部バイオフォーラムを開催した。講演は、これまで、実験動物遺伝学や分子生物学をベースにヒトの疾患モデル動物を作出してきた佐々木 宣哉博士が行った。佐々木博士は、現在、北里大学獣医学部実験動物学研究室において、数々のヒト疾患モデル動物の開発と解析を行っている。

佐々木博士は、ヒトの腎症悪性化(タンパク尿、糸球体硬化症、尿細管間質性線維症、腎性貧血等を呈し、最終的に末期腎不全へと進行する)に類似した病態を示す遺伝性モデルマウス(ICGNマウス)の遺伝学的解析により、Tensin2 (Tns2)遺伝子のナンセンス変異 (Tns2nph変異)が、その一つの原因であることを示された。さらに、C57BL/6J (B6)マウスの遺伝的背景にnph変異を導入したコンジェニックマウス系統とICGNマウスと交配することにより作出したマウスの遺伝学的解析により、尿細管間質傷害及びポドサイト傷害に対する抵抗性因子が染色体の二つの座(D2Mit433-D2Mit328間とD2Mit102-D2Mit451間)に存在することを示された。今後、原因遺伝子を同定することで、この抵抗性メカニズムの解明および腎症の予防・治療への応用が期待される。
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