019
京都マラソン地域の人々

PBL授業の課題から生まれた京都マラソン沿道応援企画への挑戦

  • 法学部2年次
    高橋 良昌さん(左)
  • 外国語学部2年次
    尾崎 葵さん(右)

課題解決型キャリア教育プログラム「京都マラソンを京都市民にPRせよ!」

2月19日に行われた『京都マラソン2017』において、京都産業大学は大学唯一のオフィシャル・パートナーとして参加。大会を盛り上げるため、京都市と連携し「沿道応援スタンプラリー」を開催しました。このイベントはキャリア形成支援プログラムの一環として、京都マラソン実行委員会から課題を提供していただき、学生が主体となって企画から当日の運営までを行いました。スタンプラリーの参加者は開催3日間で延べ8,700人という予想を大きく上回る大成功をおさめました。

今回、なぜ「沿道応援スタンプラリー」を企画したのですか?

尾崎さん:参加のきっかけは、キャリア形成プログラム(O/OCF-PBL※)の授業でした。さまざまな企業や団体から課題を提供していただき、解決していく中で社会人基礎力や課題解決能力を養う授業なのですが、私たちがいただいたのは、京都市の京都マラソン実行委員会さんからの「京都マラソンを京都市民にPRせよ!」というミッション。どのようにPRしていくかということをゼロから検討しました。京都マラソン自体は実績もあるイベントですしみんな知っているはずなのに、なぜ今PRが必要なのか?と考え、知ってはいるけど興味がないという「無関心層」にターゲットを絞りました。

子どもから大人まで多くの方が参加!

高橋さん:無関心層をターゲットにすると、関心を持たない理由や背景が多様なことに気が付きました。具体的には、「ランナーじゃないから」「沿道から遠い地域だから」「10代の若年層の関心が少ない」などです。そこで、参加しない理由や背景を総合的に解決できる策はないかと考え、ランナー以外も楽しく参加でき、京都マラソンへの興味の有無や年齢を問わず関心を持ってもらえる企画として、参加型のスタンプラリーにたどりつきました。

O/OCF-PBL
(On/Off Campus Fusion-Project Based Learning)

学生が課題解決活動を通じて実社会で必要となる心構えや能力を身につけるために設定された科目です。大学での学び(On Campus)と実社会(Off Campus)での学びとを融合(Fusion)させながら、実践指向型の課題解決型学習(PBL:Project Based Learning)をおこない、1年次から3年次まで体系的な能力伸長を図ります。【O/OCF-PBLについて詳しくはこちら】

企画を実行するうえで意識したことは何ですか?

尾崎さん:京都マラソンに興味を持ってもらうということはもちろんなのですが、ランナーとして走ることだけが“参加”ではないということを知ってもらおうと考えていました。沿道で応援したり、今回のようなスタンプラリーなどの関連イベントに訪れたりというだけでも“参加”なんですが、その認知が低い状況でした。まず初めに、気軽に参加できるのだということを知っていただくことを意識しました。

高橋さん:そのうえで、京都マラソンの魅力を感じてもらうことを重視しました。舞妓さんが楽器を演奏したり、グルメで盛り上げたり、本学のチアリーダー部などがパフォーマンスを披露したりと、沿道応援の方法もさまざま。他にも、固定式島方式※による歩行者横断対策など、京都マラソン特有の光景が見られるのも興味を持ってもらえる魅力の一つです。それらを実際に見て感じていただけるよう、より多くの市民に参加してもらえるよう企画を進めました。

※「固定式島方式」…走路上に島に見立てた横断者のための待機スペースを作り、ランナーを島の左右に振ることでランナーを止めることなく、横断者を横断させる方法のこと。

企画・運営のうえで工夫したこと、大変だったことはありますか?

本学ブースに立ち寄られた門川京都市長と

尾崎さん:学生だけで企画を形にすることが難しかったですね。過去のイベントや全国各地の類似イベントについて調査し、情報収集を行いました。ちょうどマラソン大会に伴ってスタンプラリーを企画している地域があったので、チームのみんなで実際に参加し、良い点・改善点などを実感してイベント企画の参考にしました。

高橋さん:参加者にとっては、中継所やスタンプの設置場所が分かりにくく、場所が分かってもそこへ行くルートが分かりにくい、などの改善点を見つけることができました。ランナーがどの時間帯に通過するのか、参加者はどのタイミングで横断できるのかなどの情報までスタンプラリーの台紙に盛り込むことにしました。私は台紙の制作を担当したのですが、そのイラストやスタンプのデザインも友人に依頼して、できる限り学生の手で作り上げました。

尾崎さん:協賛いただいた企業の方や、必要な備品の発注先など外部の方と関わる機会も多かったので、やり取りをする際にはご迷惑にならないよう気をつけました。そのうえで一番大変だったのは、リーダーとしてみんなをまとめることです。もともと企画を成功させたいという思いが強かったこともあり、すべてをひとりで抱え込んでしまっていました。そんなときに、メンバーから「私たちも成長するためにこの授業を取っているのだから、もっと役割がほしい、みんなで分担してやらせて」と指摘してもらって。リーダーとしてみんなの気持ちを察することができていたらと反省するとともに、どうしたら上手く分担できるのか悩みましたね。それ以降は情報共有をしっかりすることや、できるだけみんなに役割を分担できるよう周りに意識を向けることを心掛けるようにしました。

尾崎さん:メンバーそれぞれが意思を持って取り組んでいるからこそ、衝突も起こりやすいしまとめにくかったのだと思います。何事もやってみなければわからないので、徐々に体制を整えながら進めていきました。進めていく中で私が大変だったと感じたのは、精神面。他の授業や課題もありますし、テスト期間とイベント準備期間が重なったりもして、自分の時間をどこまでこの企画に割くのかという葛藤がありました。それでも長い時間をかけ、労力を割いて頑張ったからこそ得たものは大きかったと思います。

この企画を通して得たもの、成長できたポイントは何ですか?

尾崎さん:一番は達成感です。当日4時間で2000人という予想をはるかに上回る方々が参加してくださいました。それだけでもうれしかったのですが、前日のプレイベントで「当日も参加するね」と話しかけてくれたおばあちゃんが、私の名札を見て名前を憶えてくださっていて。実際に当日もブースに訪れ、私を見つけて声をかけてくださったことに感動して、とても印象に残っています。スタートした当初はもっと軽い気持ちでしたが、企画する中で壁にぶつかって、乗り越えて、頑張ってきたからこそ得られた達成感だと思っています。この1年を振り返ると、1年前の自分とは比べ物にならないくらい強くなったと感じています。私自身マラソンには無関心な一人でしたが、この授業を通して京都マラソンのことを好きになることができたのも良かったですね。

高橋さん:この企画は参加者がいないと始まらないので、初日は本当にみんな来てくれるのか不安でしたが、一番初めに台紙を持ってブースを訪れてくれた参加者の方を見たとき、それだけで涙が出そうなくらいの感動がありました。スタンプラリーの参加者の方にアンケート調査をしたのですが、「とても楽しかった」「スタンプラリーを通じて京都マラソンに初めて参加して、その良さが分かった。来年もぜひ参加したい」など、子どもから高齢者までいろんな人の喜びの声があり、集計しながらまた泣きそうになりました。大学入学当初から「自分のやりたいことって何だろう?」と考えていたのですが、この企画を通して「人に喜んでもらいたい」ということなのだと気づくことができました。これから先、社会に出るときにも何か人を喜ばせるものに関わりたいと思っています。

法学部2年次 高橋 良昌さん(左)外国語学部2年次 尾崎 葵さん(右)

それでは、今後の目標を教えてください。

尾崎さん:今回の経験によって、自分の力でどこまでできて、何ができないのかといった力量を知ることができました。今後またこのような機会があれば、今回できなかったことにも挑戦していきたいと思います。例えば、今回は自分の担当したパートをやりきることで精一杯でしたが、高橋くんのように一歩ひき、俯瞰してみんなをまとめる立場にもチャレンジしたいです。また、参加者の想いと開催側の想いをむすぶ役割を体験したことで、異なる2つのものを上手くむすびつけるような仕事に関わりたいと思うようになりました。将来目指すところも少しずつですが見えてきたので、それに向かって頑張りたいです。

高橋さん:後悔をしないように、一日一日を大切に過ごしていきたいです。やらなかったことを後悔したくないので、何か誘ってもらったら断らないようにしていますし、自分からも積極的に行動するように心掛けています。今回の成功体験によって、全力で取り組めばよい結果をうみだすことができるという自信を持つことができたので、今後も一つひとつに全力で取り組んでいきたいと思っています。

※掲載内容は取材当時のものです。

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