京都産業大学創立50周年記念事業リエゾンオフィスシンポジウム「作物改良の過去、現在、そして未来へ 〜交雑育種から遺伝子組換えまで〜」開催

多くのお申込みを頂き、誠にありがとうございました。
お申込みが定員を超えたため、受付を終了とさせて頂きます。

 この度、2015年に創立50周年を迎える本学の記念事業として、京都産業大学 リエゾンオフィスから本学の研究成果の一端を市民の皆様にご報告する機会として、シンポジウムを開催することといたしました。

 本シンポジウムでは、昨今話題となっている作物の遺伝子組換え技術を中心に、作物改良技術の歴史と未来についてお話しし、世界的な食糧問題から健康への影響に至るまで、皆様が問題意識をお持ちの課題への一助となることを目的として開催致します。
 聴講無料でご参加いただけます。是非、お申込み下さい。

開催概要

 世界人口は、2050年に95億人を超えると言われています。はたして今までの農業で、将来人類を養うことは可能なのでしょうか。ここには温暖化に伴う耕作適地の減少、水や他の農業資源の枯渇という難問も立ちはだかります。
 文明は、それを支える農業と共に発展してきました。農業の発展には作物の改良(育種)が必須です。交配と優良個体の選抜による伝統育種は、今も品種改良の中心ですが、その延長線上に遺伝子組換え技術が生まれました。
 除草剤の使用量削減、温暖化や干ばつへの耐性強化など、組換え作物には優れた特性があります。しかし日本での社会的受容は進んでいません。一方、組換え作物は、既に輸入されており、それをもとにする食品は日常の食卓に溢れています。
 本シンポジウムでは、遺伝子組換え作物の現状とこれからについて考えます。

日時 平成26年7月12日(土) 開場13:00 開演13:30 終演(予定)16:00
会場 京都産業大学 壬生校地 むすびわざ館
むすびわざ館への交通アクセス

申込 郵便番号・住所・氏名・電話番号・年齢・参加人数・ご質問事項等をご記載の上、以下の方法にてお申込み下さい。(先着順)

【往復はがき】
〒603-8555京都市北区上賀茂本山 京都産業大学リエゾンオフィス
【FAX】
FAX:075-705-1778 ※「リエゾンオフィス シンポジウム参加希望」と明記下さい。

※収集した個人情報は、本学開催行事の案内以外には一切使用いたしません。
申込期限 平成26年7月2日(水)
(往復はがき:当日消印有効。参加証は7月4日頃発送予定。)
※インターネット申込は定員になるまで受付いたします。

プログラム

1 講演『人間と栽培植物』

京都産業大学 副学長 総合生命科学部 教授 山岸 博
略歴 長野県立伊那北高校卒業。京都大学農学部卒業。農林水産省野菜茶業研究所主任研究官を経て、1988年より京都産業大学助教授。1995年同教授。2007年から2010年まで京都産業大学工学部長。現在、京都産業大学副学長 総合生命科学部教授。
研究分野 植物育種学
主な著書 『概要 現代生物学』(学術図書出版社)、『図説 野菜新書』(朝倉書店)、『栽培植物の自然史』(北海道大学図書刊行会)

講演概要

 一万年あまり前、人類はそれまでの野生植物を採集する生活から、植物を栽培する農耕生活へ移行した。このような農耕の開始は、世界のいくつかの場所で独立に起こったと考えられている。農耕の開始は、同時に人類による植物の遺伝的改良(育種)の始まりとともに、人類と栽培植物の共生関係の進化の始まりを意味した。
 以来人類は、農作物を改良し続けることによって、世界人口の増加を支える食料を生産するだけでなく生活の質の向上を図ってきた。とりわけ、20世紀後半に見られた主要穀物における育種の成果は目覚ましいものがあった。ところが、今世紀に入ると、世界人口は依然急増する一方で、農業生産量には停滞が見られている。ここでは育種技術の発展を中心に、人間と栽培植物の関係を振り返る。

2 講演『遺伝子の正体とその働き』

京都産業大学 総合生命科学部 教授 黒坂 光
略歴 大阪府立市岡高校卒業。京都大学薬学部卒業。京都大学薬学研究科博士後期課程修了(京大薬学博士)。京都産業大学国土利用開発研究所 講師、同工学部助教授、教授を経て、2010年より総合生命科学部教授。2013年より同学部 学部長。
研究分野 生化学・分子生物学

講演概要

 遺伝とは親世代から子世代に形質が伝わる現象であり、遺伝情報の伝達を担う因子を遺伝子と呼ぶ。この遺伝子の本体は、2本の鎖が互いにらせん状に規則正しくからまりあったDNAとよばれる長いひも状の分子であり、それぞれの長い鎖はわずか4種類の小さな単位(ヌクレオチド)が数珠状につながって出来ている。
 DNAの基本構造は細菌から植物、人間まで共通しており、わずか4つの基本単位の配列の違いが地球上の生物の遺伝的多様性を産み出している。このDNAの生物種を越えた構造の普遍性と単純な化学的性質が、遺伝子に遺伝物質としての必要十分な性質を与え、さらに遺伝子組換え技術の理論的背景となっている。
 本講演では遺伝子の構造・機能と、最近の遺伝子編集技術の可能性について解説する。

3 講演『葉緑体の遺伝子を組換える』

京都産業大学 総合生命科学部 教授 寺地 徹
略歴 北海道立函館中部高等学校卒業。京都大学農学部農林生物学科卒業。京都大学農学研究科博士後期課程修了(京大農学博士)。日本学術振興会特別研究員(DC)、京都産業大学国土利用開発研究所講師、同工学部助教授、教授を経て、2010年より総合生命科学部教授。現在、京都産業大学先端科学技術研究所長(植物ゲノム科学研究センター長)を兼務。
研究分野 植物分子遺伝学・オルガネラ遺伝学

講演概要

 生物が正常な生活を営むのに必要な遺伝子の1セットを「ゲノム」と呼ぶ。高等植物は、このゲノムを核のみならず葉緑体とミトコンドリアにも持っている。これは葉緑体とミトコンドリアが、はるか昔に細胞の中に定住したラン藻と細菌の末裔であることの証拠とされるが、長い間の細胞内共生の結果、両者の遺伝子の大部分は、核ゲノムに取り込まれてしまった。
 我々は、近年、遺伝子工学の手法で、任意の遺伝子を葉緑体ゲノムに導入することができるようになった。この手法を用いると、核ゲノムに取り込まれてしまった葉緑体の遺伝子を、本来の働き場所である葉緑体ゲノムへ戻すことができる。葉緑体のゲノムは1つの細胞あたり1万コピーにも達し、導入された遺伝子の産物は大量に生産される。また導入された遺伝子は花粉から子孫へ伝わらないので、環境への拡散を防止することが容易である。これらの特徴を活かして、人類の役に立つ組換え作物を作ることができないか、具体的な成果を交えて、その可能性を議論したい。

4 講演『遺伝子組換え技術〜私たちのくらしは生物から学んだ技術に支えられている』

NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事 佐々 義子

講演概要

 納豆、豆腐のパッケージに「遺伝子組換えでない」と書かれていることがある。これは、危険な遺伝子組換えダイズを避けるための警告だろうか。
 遺伝子組換え技術は、私たち人間が土壌微生物の知恵に学んでつくられた技術で、私たちが太古の昔から行ってきた食料の安定供給を支える品種改良技術のひとつである。そして、日本に、油糧種子、家畜の飼料として大量に輸入される遺伝子組換えトウモロコシ・ダイズ・ナタネは、食品として安全か、環境に対してどんな影響を与えるのか、厳しく調べられた後、私たちの食卓にのぼっている。遺伝子組換え技術を使った医薬品や洗剤の酵素なども、私たちの生活に役立っている。
 遺伝子組換え生物のつくりかた、安全性の確認、表示、人々の受け止め方、そして、遺伝子組換えカイコなど、現在、非常に注目、期待されている遺伝子組換え生物について紹介する。

5 質疑応答

 事前に受け付けた質問に対して、時間の許す限り登壇者が回答いたします。

お問い合わせ
京都産業大学リエゾンオフィス
〒603-8555 京都市北区上賀茂本山
TEL.075-705-1778 Fax.075−705-1966
E-mail:liaison-office@star.kyoto-su.ac.jp
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