News ラグビーオールブラックス戦の取材観戦記

ラグビーオールブラックス戦の取材観戦記

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ラグビーオールブラックス戦の取材観戦記

 11月2日 世界最強の相手ニュージーランドとの一戦を迎えた。

 会場の秩父宮球技場は試合開始1時間以上前からファンが埋め尽くし始める。
 私も度々、ラグビー観戦をしに、秩父宮へ足を運んだが、ここまで埋め尽くされた秩父宮を見たのは初めてだろう。
 日本中のラグビーファンが大注目しているのは間違いないと確信した。

 そして、ウォーミングアップをする両チームの選手達の気合いの入りようにも胸をわくわくさせられた。
 私は、何度も自分が住むオーストラリアで「オーストラリアvsニュージーランド」の試合も目にしたが、その最強チーム・ニュージーランドがここ秩父宮にいることが未だ信じられなかった。

 そして、試合直前のニュージーランドのハカ。
 これを見て興奮しない人はいないだろう。生で“ハカ”を見る。なんて贅沢なんだと試合前から興奮が絶頂に達していた。

 遂に試合開始!!

 ニュージーランドのファール(knock on)から試合が始まり、チャンスを得た日本チームだったが、すぐさま、日本も同じファールでボールを相手に渡す。

 しかし、驚いたことに、王者ニュージーランドにも、われらが京都産業大学卒業の伊藤鐘史選手含む日本のスクラムは負けていない。
 本当にすばらしい!と感動さえ覚えた。
 9分3秒すぎにニュージーランドがトライを決め、#10 Dan Carterがしっかりとキックも決めきる。ここからか?と思わせられたが、すぐさま日本もペナルティーキック2本で1点差までおいつき、6-7。ここまでは互角の戦い、いける!と日本中のファンも応援に力が入った。

 しかし、そのあとからじわじわと王者の貫禄を見せ始めるニュージーランド。
 前半を6-28で折り返した日本は後半に望みを託す。

 後半に入ってもやはりニュージーランドの勢いは止まらない。
 途中交代で京都産業大学卒業の山下裕史選手、長江有祐選手もフィールドで王者相手に奮闘。

 終了間際、日本がニュージーランドのゴールに迫る。
 ウイングの選手が相手ラインにトライをしたようにも思えたアタック。
 しかし、トライ前にサイドラインを越えていたという判定でノートライ。

 結局最後は6-54という点差をあけられ、試合終了のホイッスル。
 日本の選手達の悔しい表情が印象的だった。

 でも、試合中、ひときわ目立っていた選手がいた。
 田中史朗選手だ。さすがとしか言いようがない。田中選手のスピードはニュージーランド選手にも引けを取らない。そして、世界のトップを相手に戦える技術の持ち主だ。
 彼は、フィールド場でもフィールド外でもチームの中心としてチームをまとめていた。

 試合後、各選手にインタビューをさせていただきました。
 彼らはこの試合を通して、何を感じ、何を得て、そして次にニュージーランドと対戦するときに違う結果を出すためには、どういう事にチャレンジをしたいのかという軸で質問させていただきました。

試合を終えての感想を教えてください

伊藤鐘史選手

伊藤鐘史選手

田中史朗選手

田中史朗選手

長江有祐選手

長江有祐選手

伊藤鐘史選手

 試合開始後前半にトライをとる、流れをつかむチャンスがあったが、自分たちの簡単なミスで相手にボールを渡してしまい、そこで逆に攻め込まれた。あの場面が、試合の流れを相手に与えてしまったと思う。
 スクラムに関しては、試合前から個々のパワーで勝るニュージーランドがセットプレーで攻めてくるのをチームとして理解していたし、日本チームはそこをフォワード全員のパックとしてパワーを一つにしてスクラムを組み、対抗していこうと決めていた。実際、試合中もスクラムの部分では負けていなかったと思う。

田中史朗選手

 試合を終えての率直の感想は「悔しいです」
 でも、初めての相手でしたが、思っていたより差がある訳でもないと感じました。
 もっとチームでコミュニケーションをとり、チームとしてまとまっていけばいい結果につながっていくと思います。
 自分たちもまだまだレベルアップできると確信しましたし、このあとも継続してトレーニングしていき、レベルをあげていきたいです。
 最後の攻撃でトライを取りきれなかったのは悔しいですが、世界一の相手を焦らせることができたので、その回数を増やしていけるようにこれからもがんばっていきたいと思います。

長江有祐選手

 途中からの出場になったが、自分が入ったら流れを変えるプレーをしようと思ってフィールドに入った。
 日本チームは自分たちのやりたいセットプレーはできていた。しかしそれをアタックにつなげて行くことができなかったところが反省だと思う。
 後半の最後も大チャンスの場面で得点を取りきれなかったところが悔しい場面でもあります。

山下裕史選手

 フォワード的には収穫の多い試合だったと思います。
 スクラムもそうですし、ラインアウトもしっかり確保できていたので良かったと思います。ニュージーランドと戦う前のスカウティングからも、ニュージーランドのフォワードはそれぞれが自立していて個々では負けてしまうので、日本のフォワードは全員で前加重にしてパックとしてチームであたっていくと決めていた。チームとして集まって1週間でしたが、全員がそれを理解し相手に通用していたので、とても良かったと思います。
 試合をしてみて、やはりいつもと違うスクラムの重さを感じましたし、世界を感じることができたいい経験になりました。

山下裕史選手

山下裕史選手

もし、次ニュージーランドと戦うときは?

伊藤鐘史選手

 自分たちの得意とするアタック「ジャパンウェイ」をどんどん相手にしかけていきたい。
 そのアタックで相手を惑わし、ジャパンの特徴でもある攻めるラグビーで相手のゴールに向かって行きたいと思います。

長江有祐選手

 自分の仕事であるスクラムを安定させ、強くして、チーム全体でどこのチームにも負けないスクラムを作り上げて挑んでいきたい。
 アタックに関しても自分のワークレートでチームに影響を与えられるように「ジャパンウェイ」をやっていきたいと思います。

山下裕史選手

 今回の経験を活かし、もう少しスクラムの質をあげていけるようにして、相手にも嫌がられるフォワードになっていきたい。
 相手がゴール前でスクラムを選択するのではなく、タッチに逃げるような脅威のあるスクラムを組めるチームになっていけるようにしたい。

 フォワードの3選手からスクラムで自信が持てたとお話しいただいたので、今回特別にフォワードの中心でもある、堀江翔太選手にもインタビューさせていただきました。

試合を終えられて率直な感想を教えてください。

堀江翔太選手

 相手へボールが流れてしまう場面が多々見られたので、しっかり自分たちのボールにできるように修正していきたい。この負けをネガティブに考えず、次の試合につながるようにポジティブにチームで反省していきたいと思います。
 スクラムはあの体重差で同等のスクラムが組めたということは自信にしていくところだと思います。でも、チーム全員が同じ戦術で戦いきれてたかというと、まだまだ意識統一ができきれなかった部分があるので、もっと時間をかけてつめていかないと行けない部分だと思いました。
 次にニュージーランドとあたったら、ボールをしっかり確保して、相手にアタックしていけるようにしたいです。もっと、チームでまとまり、意識統一していけば戦えると思います。日本の武器であるアタックに磨きをかけ、相手に向かっていきます。

 最後に田中史朗選手から
『みなさま、日本のラグビーをよろしくお願いします。』
とコメントいただきました。

 今後のさくらジャージが楽しみです!
 このように日本代表としてたくさんの京都産業大学の卒業生が世界を相手に戦っています。みなさんの応援が力になるはずです。これからも、みんなで応援していきましょう!

 がんばれ日本!!

ライター 山田幸代

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