コンピュータ理工学部コンピュータサイエンス学科 外山 政文 教授

たとえば、地球の裏側にいてもブラウザーを通じて監視制御できる。
脚光のVIテクノロジーとインターネットによる最先端システム。

海外からでも監視制御できるそうですが、システムの概要を教えてください。

コンピュータ理工学部コンピュータサイエンス学科 外山 政文 教授

 最近、VI(Virtual Instrumentation)テクノロジーが脚光を浴びています。たとえば、米国の火星探査機にも使われています。私の研究室ではこのVIを活用し、インターネットブラウザーのみで遠隔監視制御ができるシステム構築を目指しています。ブラウザーさえあれば、海外からでも監視制御が可能な地球規模のシステムです。具体的には米国National Instruments社のVI開発用グラフィカプログラミング言語LabVIEWと関連ソフトウェアIMAQVision、Motion Control やPCIインターフェースボードなどを用いています。バーチャルというと誤解されがちですが、この場合はPC上に実際と同様の装置を構築し、実際と同じ操作方法でデータ計測解析や外部物理系の制御を行うことをいいます。

開発システムの具体的な内容、その応用分野についてお話しいただけますか。

 現在、3タイプのVIシステムを開発しています。「実験室遠隔監視制御VI」「自動状況監視VI」「自動出席確認VI」です。「実験室遠隔監視制御VI」は海外出張時に大学の実験室の状況を把握し、監視・制御したいというのが発案のきっかけでした。学生がさぼっていたらロボットを使って叩き起こしてやろうと考えたのです(笑)。システム的には遠隔地からブラウザーを通じて実験室のカメラを遠隔操作し、ブラウザー上にマウントしたロボット操作VIで現場のロボットをコントロールして警告などを行います。音声による警告もブラウザーから行います。ちなみに、ロボットは実験室に設置したサーバーからワイヤレス制御する移動型ロボットと実験室に固定した作業用ロボットなどから構成されています。いま、この実用化に取り組んでいます。一例をあげれば、病床にあるご高齢の方をご家族にかわって見守るといったことも可能です。「自動状況監視VI」を応用し画像センシングで継続的に状況を把握し、異常を察知すればロボットが音声や動作で初期対応する、と同時に自動的にメールを発信し遠隔地の我々に異常を知らせる。警告メールを受けて「遠隔監視制御VI」を駆使して状況の確認と改善を行う。このような介護分野での展開です。「自動出席確認VI」は学生の目・鼻・口および学生証の4点で確認します。カレンダー形式でLabVIEWのフロントパネル上に出席状況を表示し、遠隔地のブラウザーからリアルタイムで出席状況を把握することができます。結果はファイルに保存します。このシステムはセキュリティ分野などでも応用できるはずです。

今後の取り組みテーマ、産学連携における展望などをお聞かせいただけますか。

 これらをさらに発展させ、実用化するためのポイントはシステムのコンパクト性だと考えています。今後の重要な研究テーマの一つです。すでに携帯電話からの遠隔監視制御は実現しました。また、遠隔地が地球の裏側といったケースでは通信遅延時間が問題になります。たとえば、ボタン式でカメラを稼働させると余分に回転したりするわけです。そこで、ブラウザー上のカメラ画像の任意の1点をクリックすることでカメラを制御し回転誤差を排する新方式を開発しました。リモコン移動ロボットもブラウザー上のカメラ画像をクリックすることで任意の位置に移動させることができます。ロボットアームも直角2画面のクリック方式制御で課題をクリアできました。システムのセキュリティ対策も幾つか講じています。研究開発しているこれらのシステムは汎用性を備えていますので、産学連携の視点からは各業界・企業個々の具体的なニーズに基づいた先端のオリジナルシステムを構築できると考えています。

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