カナダ・トンプソンリバーズ大学

外国語学部 英米語学科 宗藤 広大さん

留学種別:交換留学
留学先:カナダ・トンプソンリバーズ大学
留学時の年次:2年次
担当留学アドバイザー:ギリス フルタカ アマンダ ジョアン准教授
出身高校:岡山県立岡山城東高等学校

 まず今回私が留学をしようとしたきっかけですが、これは私が以前にした海外語学研修が主なものとなります。当時の私は高校1年生で、高校が独自に毎夏行っている海外語学研修というプログラムに参加してCanadaのVictoriaにあるRoyal Rose Universityに2週間程行ったことがあります。私の人生上、初めての海外生活ということもあり、目にするものすべてが新鮮に感じられ、実際に素晴らしい経験をすることができました。そして帰国後に当時私が現地で経験をしたことをもとに、もう一度海外に勉強しに行きたい、と感じたことが最初のステップです。しかしながら、大学生であるうちに留学をすることの意義を問い直し、留学をすることによって発生するリスクなどを懸念していたことから、1〜2年程の間留学をもう一度しようか、しまいかと試行錯誤していました。そうした時に私に留学を決意させたのは高校の恩師の言葉でした。この先生は高校生活を通して私に英語を教えながら、自身の人生についても大変貴重な教訓を教えてくださった方です。私が高校生の時に英語のことだけではなく、留学についてもお話をしていただいたことがあるのですが、この先生が言われたことに私は胸を突き動かされました。『僕は自分が学生の時に留学ができるような環境に恵まれていなかったから、もし宗藤君が留学に行けるような環境にいるのであれば留学をしてほしい。』果たしてこの言葉が私に留学を決意させたのですが、その時私は先生が学生の間に行くことができなかった留学という目標を自分が達成したい、と感じたのです。

 次に留学生活全般についてお伝えしたいと思います。まず授業に関してですが、留学生活前半は私が想像しているものと同じようなものでした。私は現地で2012 Fall Semesterと2013 Winter Semesterの2学期間勉強をしました。前半の2012 Fall Semesterは5つ授業を取っていましたが、そのうち4つがEASLの授業で1つがAcademicの授業だったので、最初は授業に慣れるのが大変でした。授業に慣れてくると、授業がない時間に他の留学生の友達とお話をしたり昼食を共にしたりする余裕がありました。しかし、2013 Winter SemesterはAcademicの授業を最初は5つ取っていたので、ご飯を食べる時以外は常に勉強していないと授業についていけないような生活をずっとしていました。結局は2013 Winter SemesterはAcademicの授業を4つにしてとる授業を1つ減らしたのですが、それでもハードな毎日が続きました。EASLの授業を受けているときにはClassmateの皆が留学生なので雰囲気も良く、いろいろ教えてもらうこともできたのですが、Academicの授業は全てが違いました。まず生徒の人数比がCanadian : Internationalで9 : 1ぐらいでしたし、授業がものすごく早いスピードで進むし、自分で何とかしていかないとどうにもならない環境でした。特にAcademicの授業をたくさん取っていた時には、何から何まで自分が努力した分の結果が返ってくるので、『自分で何でもやりきる力』がついたと思います。

 生活についてですが、私自身日々の生活で困ることはあまりなかったように思います。私が地方出身ということもあるかもしれませんが、交通網はある程度整っているし、食料品は買いに行こうと思えばすぐ買いに行ける場所にあるし、特に困ったことはありませんでした。私は9か月間ホームステイをしていたのですが、そこについても困ることはありませんでした。食事の仕方、シャワーの使い方、などを丁寧に教えてくださり、いつも親身な姿勢で接してくれたことに本当に感謝しています。私が高校生の時にもホームステイをして凄く親身に接してくれたのですが、今回はStayする期間が長いこともあって、まさに『家族の一員』であるということを感じることができました。

 続いて友人関係ですが、私は本当に素晴らしい友人に恵まれていたと思います。Kamloopsに着いてから友達ができるか本当に心配だったのですが、日本人の友達からInternationalの友達まで様々な友達ができました。私自身がもともとおしゃべりだということもあるのかもしれませんが、留学生活を通して多くの人と関わりを持つことができました。アジア圏はもちろんのこと、Canadian、南米、ヨーロッパ、そしてアフリカ諸国から来ている人々と知り合うことができました。日ごろ私がなんにも思っていないようなことでも、ひとたび友達を囲んでその議題について意見を交わすと、自分が考えつかないようなアイディアをくれました。議題は本当に多岐に渡り、家族、自国での生活、政治、経済、自身の将来に対する展望、などについて意見を交わしあったりしました。私は毎週金曜日に大学のCanadian, Internationalの生徒、そして地域に住まれているChristianの方々とキリスト教を学びながら、楽しむクラブのようなものに所属していたのですが、そこではかけがえのない経験をすることができたと思います。

 そして留学先国のことですが、やはり日本と異なる点を多く見ました。人々の性格から食べ物、気候、生徒、様々な観点において相違点が見つかりました。人々の性格においては、Canadianはやはり日本人と比べて自分の意見をしっかりと主張するということに違いを見つけました。私は他の日本人、そしてInternationalの生徒に比べてCanadianの生徒と会話をする機会が多かったと思います。そして彼らは会話をしているときに「自分の考えていることをまず相手に伝えることが大事だ。だから私たちはよく喋るって一部の人から言われるのかもしれない。」と言っていました。そしてCanadianは何かに取り組む前に諦めるというような考えがなかったようにも思います。まず取り組んでみて、それで問題にぶち当たった時に新しいやり方を考えて、そして解決していく、という彼らのハングリー精神には本当に感心させられるものがありました。そして私がCanadianと共に時間を過ごしていて毎回感じることは彼らの『寛大さ』です。包み込むような優しさで接してくれて、それでいて人の好さを素直に認められる彼ら特有の優しい心が私は大好きです。天気が良い時や、小鳥が鳴いているような、そんな日常の小さなことに喜べるCanadianに私は心の充足感を感じました。日本人が今一番欠いているものだと思います。気候については、いろいろ悩まされました。Kamloopsは砂漠地帯で非常に乾燥しているため、私が現地に着いた8月には1日にカップ8杯もの水を摂取しないと脱水症状を招く恐れがあるという、極めて暑い天気が続いていました。Canadaは日本より非常に井戸が高いため夏は夜の9時過ぎまで明るい日が続くのですが、冬になると一転して午後4時前には外が真っ暗という時期がありました。夏の時期は晴れている時間が長いので特に大きな問題はありませんでしたが、冬の時期は日照時間が非常に短いこともあって人生で初めて「鬱」というものを経験しました。特に冬は気温もマイナス20度ぐらいまで下がり、勉強だけに限らず意欲が減退していた時期がありましたが、ホストファミリーや大学の友達と話したりすることでなんとか乗り切ることができました。

 苦労したことは現地で勉強に対するモチベーションを保つことでした。前半の2012 Fall Semesterは一番初めのセメスターということもあってか常に集中しながら勉強に取り組むことができたのですが、2013 Winter Semesterはそのように上手くはいきませんでした。体の芯まで冷え込む冷気、非常に少ない日照時間、海外生活でありがちな「鬱」、などの要因が一度に重なったことによって、授業は真剣に受けるけども家に帰るとなぜかやる気がでずに椅子に座ったまま、といったような日々がありました。2013 Winter Semesterには受講した授業全てがAcademicということもあり、友達作りに苦労しました。理解のあるCanadianの生徒なら快く話してくれるのですが、皆が皆そんなに気がいい人ばかりではありません。自分から必死に声をかけていき、授業で困った時にサポートしてくれる友達を作りました。苦労したことはもちろんありましたが、自分でどうにかして物事を解決する力がこの時期に培われたように思います。

 続いて楽しかったことですが、概していうと私の留学生活は楽しいことばかりでした。留学当初から素晴らしい仲間に巡り合うことができ、日頃たわいもない話をし、困った時にはいつでも助けてくれる友人がいて、と本当に充実感でいっぱいの留学生活でした。Canadianの生徒ももちろんですが、私は特にInternationalの生徒と時間を過ごすことが多かったので、様々な国からの留学生と知り合うことができました。時間があるときにはおしゃべりをしたり、ゲームをしたり、友人宅でテスト明けにパーティーをしたり、ととにかく人と触れ合う時間がとても多く、これほどか、というほど不思議に寂しい思いをしたことはありませんでした。

 現在の語学力スコアですが、帰国後すぐに受けたTOEICテストの結果がまだ開示されていないので、結果に応じて再度学習方法を考えたいと思います。就職活動に関係することでもあるから、と高い点数を目標に掲げて学習するのも一つの理由ですが、自身の留学経験を次のステップに活かすためにも、日々努力して得点アップを目指していきます。

 これから留学される方へのメッセージということですが、私はこれから留学にいかれる皆さんには大いに留学生活を楽しんでもらいたいと思います。一口に楽しむ、といってもこれは現地に着いてから遊んでばかりの生活を送る、といったようなものではありません。勉強することはもちろんなのですが、友人との付き合いを通してパーティーに参加してさらに友人関係を深め、新しい友達の輪をつくり、たわいもないことから政治などの特定のトピックを話し合う、といった経験はまた机上で得られる経験とは違ったものになると思います。私は机上での経験が大切だとずっと考えていましたが、友人との関係の輪を広げることによって人間的に成長することができると思います。そしてそのような経験が留学生の皆さんをより魅力的な人物へと変えてゆくことになる、と留学時に改めて感じました。

 留学を通して私はありのままの自分を素直に受け入れることを学びました。なぜならば、現地では自分が考えていることを説明して理解してもらうために自分を素直に表現できないと何も進まないからです。これは友人関係、学習面等々、様々な分野に関わる大切なことだと思います。自分の性格、好きなこと、嫌いなこと、こうして一体自分という人物はどのようなものなのか、ということを見つめ直すことができるのも留学の大きなメリットだと思います。私も日本国内にいた時にはあまり意識していなかった自分が、現地に行くと「私」というものが浮き彫りになる機会が多く、自分がどのような人物なのか考えることが多々ありました。このような経験を繰り返すことにより、本当の自分というものに気付くことができ、今まで見ることのなかった新しい世界が見えてくると思います。

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