河北秀世 台長 日本地球惑星科学連合より西田賞を受賞

 地球惑星科学という学問は、研究対象として地球や他の太陽系の惑星・小天体、そして太陽系外の惑星までも含んでおり、これらの天体についての物理学、気象学、地質学など多種多様な学問分野によって構成されています。このような背景から、地球惑星科学関連の国内48学会・協会からなる日本地球惑星科学連合では、地球惑星科学の分野において新しい発想によって優れた研究成果を挙げ、国際的に評価を得ている中堅研究者を関連する全分野の中から選び、「地球惑星科学振興西田賞」(以下、西田賞)として隔年で表彰しています。今回、京都産業大学神山天文台の河北秀世台長が、神山天文台で行ってきた「彗星の分光学的観測による太陽系起源の研究」を評価され、2014年度の西田賞を受賞いたしました。

 河北台長は、彗星を手掛かりとして46億年前の太陽系誕生の起源を明らかにする研究を行ってまいりました。彗星という氷と塵からなる小天体(直径数キロ)が太陽に近づいて放出するガスを、地上の望遠鏡を用いて虹に分けて分析するという分光学的手法により、46億年前に太陽系が誕生するもととなったガス雲の性質を明らかにしてきました。これまでの研究の中には本学の学生との共同研究も多く含まれており、河北台長のもとで学んだ学生が大学院で博士号を取得し、彗星研究者への道を進んだ例もあります。

 河北台長は、「私のこれまでの研究は、神山天文台において学生たちと行ってきた研究が多く含まれています。特に、大学院まで進学し、いっしょに論文を書いてくれた卒業生のみなさんに感謝します。」と語っており、現在も神山天文台において赤外線高分散分光学を駆使した研究プロジェクトを、文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に採択され推進しています(赤外線高分散ラボ)。更に「今後、第二・第三の受賞者が、研究プロジェクトに関わる神山天文台の研究員や学生の中から出てほしいと思います。」と語っています。

 西田賞の授賞式は、5月27日に幕張メッセで行われる日本地球惑星科学連合の連合大会で行われる予定です。

公益社団法人日本地球惑星科学連合(Japan Geoscience Union; JpGU)は、地球惑星科学を構成するすべての分野及びその関連分野をカバーする研究者・技術者・教育関係者・科学コミュニケータなどからなる7000名以上の個人会員と地球惑星科学関連48学協会を団体会員とする学術団体です。

神山天文台長・理学部教授 河北秀世

神山天文台長・理学部教授 河北秀世

 京都大学にて情報工学を学んだ後、電気メーカーに就職。余暇で研究を始める。1998年に群馬県立ぐんま天文台へ転職し、2004年には彗星氷の分光観測的研究で国際宇宙研究委員会COSPARよりZeldovich賞を受賞、更に国内2学会より若手研究奨励賞を受賞する。その後、京都産業大学へ転職し、2010年より神山天文台長(理学部・教授)。現在に至る。今回の地球惑星科学連合・西田賞は10年ぶりの受賞となる。

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