理学部物理科学科4年生「りょうけん座超新星」の確認観測に成功

2011年 6月3日
京都産業大学 神山天文台特定研究員 新井 彰
理学部物理科学科4年 長島 雅佳、梶川 智代

りょうけん座超新星

 日本時間5月31日に りょうけん座の子持ち銀河M51の渦の腕の中に、突然明るい星が出現しました。(写真の左側が出現前、右側が出現後に荒木望遠鏡で撮影したM51です。) この知らせを受けた本学神山天文台では、新井 彰研究員および理学部物理科学科4年生、長島 雅佳くんと梶川 智代さんが、6月3日午後9時頃から荒木望遠鏡を用いた分光観測を実施し、この天体が、大質量星が年をとって爆発したII型超新星であることを確認しました。この結果は、広島大学 東広島天文台と共同で、国際天文学連合の速報を通じて世界中の研究者に報告されました。

 突然現れた天体がどのような天体なのかを確認するためには、分光観測と呼ばれる「光を虹に分ける」観測が必要です。新井研究員と本学理学部の学生たちは、晴れていれば毎晩、分光観測を続けてきました。その地道な努力が成功につながったと言えます。観測を行った長島雅佳くんは「観測にも慣れてきたので、自分達で分光観測ができて嬉しかったです」、梶川智代さんは「梅雨の晴れ間に撮れて良かったです」と語っています。

荒木望遠鏡で観測した超新星のスペクトル

 II型超新星は、太陽の8〜10倍よりも重い星が一生の最後に爆発した天体だと考えられています。爆発する前の星の外層部には水素がまだ残っているため、分光観測によって得られるスペクトルを分析すると、水素による吸収線が見られることが特徴です。

 超新星のような暗い天体を分光観測するためには光をたくさん集める必要があり、大きな望遠鏡が必要になります。神山天文台では国内6番目の大きさを誇る口径1.3mの荒木望遠鏡をすぐに向けて観測する体制を整えており、今回の超新星の観測に成功しました。

りょうけん座超新星

グラフの横軸は波長【オングストローム Å= 0.1ナノメートル単位】
左から右にむかって、青・緑・黄色・オレンジ・赤色の光に相当する

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