フィンランド ユヴァスキュラ大学

外国語学部 国際関係学科 北波 有理さん

留学先 フィンランド ユヴァスキュラ大学
留学期間 2015年8月~2016年7月
留学アドバイザー 外国語学部 マコーマック ノア ヨシナガ准教授
出身高校 Logan Park High School (New Zealand)

留学のきっかけ

高校時代のニュージーランド留学中は語学力向上に重きをおいていたため、大学では英語を学ぶためでなく英語を使った留学がしたいと入学当初から考えていました。その頃からぼんやりと長期留学のことは考えていましたが、絶対に行きたいと思えるようになった背景には大きく2つの理由があります。1つ目は日常生活レベルの英語力だけでなく、アカデミックな英語力もレベルアップさせる必要があると考えていたためです。2つ目は私の所属している国際関係学科必修の3週間の海外フィールドリサーチで、3月にカナダへ短期留学したことです。そこでの3週間はあっという間でやっと現地の生活に慣れてきたところでの帰国だったということでした。そこで短期間でできることは少ないと改めて実感することができました。カナダ研修前から長期留学は意識していましたが研修後に長期留学への思いは一層増しました。

留学に向けて

2015年6月 KSUMUNカンファレンス時の様子
1年次秋からKSUMUN(京都産業大学模擬国連サークル)に参加し、国際社会のニュースを英語でディスカッションを行うとともに各国の立場のリサーチを中心に活動を行っていました。そこでは語学力のみならずコミュニケーションスキルも上達できるよう努力していました。サークル内に交換留学生も所属していたこと、そして普段の授業でGJP科目を積極的に履修していたことで留学した際の授業のシミュレーションができました。このように留学に必要なスキルを大学内で向上させることができとてもよかったと思っています。また留学に関しての情報は、国際交流センター主催の留学祭などに1年次から参加し留学から帰ってこられた先輩の話を聞くと共に報告書を読んでどんな科目が履修可能かチェックするようにしていました。

なぜフィンランドなのか

高校時代にニュージーランド、また国際関係学科の3週間の研修先としてカナダを選択していたこともあり英語圏ではないところへの留学を意識し始めました。そこで英語中心で生活のできるヨーロッパ各国の留学から帰国した先輩方の話を聞いているうちに留学したいという気持ちが増すとともに、有力候補としてフィンランドとアイスランドがあがりました。どちらも私の興味のあった男女平等が進んでいる北欧諸国であるとともに、長期間滞在することで観光だけでは味わえない未知の文化に直接触れることができる機会があるというだけにしばらく迷っていましたが、アイスランドが留学の1年前募集ということもあり早く決断しないといけないと1回生の秋ごろにとても焦っていました。しかし留学祭を通してアイスランドは学部2年生以上の場合は国際関係を含めた選択科目が豊富であると先輩から聞き、留学開始希望時点でまだ2年生の秋ということをうけ、それでは履修科目が狭まってしまうということを知りました。そのため科目選択の自由がきくフィンランドを第一希望として固めることができ、翌年の春学期での募集を待ちました。それまでの時間にフィンランド文化を調べるとともに、交換留学生との交流を通してフィンランド人が日本人と似ている点が多いとよく聞いたので本当なのか、そして男女平等が進んでいる国としての文化も発見したいと思うようになり、留学へは不安よりも楽しみが勝っていました。

フィンランドでの生活

ユヴァスキュラ

名前は聞いたこともない人が多いかと思いますがユヴァスキュラはフィンランドの首都ヘルシンキから270キロほど北の湖水地方に位置しています。大学のキャンパスが湖沿いにあり、自然がとても豊かな学生の多い街です。街から少し離れた場所にある小さな島へは夏に無料ボートが出ており、それに乗って島に渡りサウナ、水泳またはカヌーも楽しむことができます。冬は湖が凍るので、湖の上でアイススケートができ、日本ではなかなかできないスポーツもユヴァスキュラでは身近に体験することができます。
夏のユヴァスキュラの様子 
冬のユヴァスヤルビ ice fishingの様子

ファミリーフレンドシッププログラム

大学が募集していたものでホームステイではありませんが、フィンランドの家族とお互いの時間を考慮しながら交流ができるプログラムでした。8月はまだ天気もよかったので、Korpilahti(ユヴァスキュラから車で約30分)にあるサマーコテージに連れて行ってもらいました。コテージは湖の向かい側にありそこまでボートで行くと聞いたときはすこし驚きましたが、子供のころから住んでいたためそれが当たり前といわれ、湖の多いフィンランドならではの生活だなと実感しました。コテージには湖に浮いているサウナもあり、サウナで温まった後に湖で泳ぐことができとてもいい時間を過ごせました。一年を通して会える回数は限られていましたが、フィンランドの家庭料理を一緒に作ったり、小さな茶道道具を持ち合わせていたので抹茶を点てたりしました。
Korpilahti コテージ周辺の湖  
ベリーパイを作りました

日常生活

シェアフラットで初めの半年は韓国人3人と住んでいました。キッチンとトイレ・シャワールームは共有ですがプライベートの部屋がありました。もちろんアジア人とはいえ価値観などの違いも生じたため何か気になることがあればその都度伝えることを心がけながら暮らしていました。しかしなかなか関係がうまくいかず、家の中での会話が極端に少なかったので、できるだけ外に出ていろいろな人と交流を図るようにしました。

生活の中で日本食が恋しくなることもしばしばありましたが、自炊をすることで節約プラスホームシック対策ができました。また大学にユヴァスキュラ大学日本友達サークル(JYJY)というものもあり日本に興味のあるフィンランド人や留学している日本人の方々とともに餃子づくりや小龍包作りもしました。欲しい食材がなかなかそろわない環境でどれだけ日本食に近いものが作れるか色々と試すこともいい経験となり楽しむことができました。その他にもEOTO(each one teach one)というお互いの言語や文化を教えあうというコースでは、北欧の代表的なお菓子シナモンロールをこのコースのパートナーと一緒に作りました。初めてだったので見た目はいびつですが、手作り感がありとても美味しかったです。

シナモンロール(korvapuustit) 
クリスマス前のお菓子作りの時の様子

気候の変化

フィンランドといえば白夜や冬の極寒がすぐに思い浮かぶだろうと思いますが、一番つらかったのはマイナス30度の気温よりも秋から冬にかけての日照時間の短さでした。8月から留学が始まったこともあり、日照時間は日に日に短くなる一方でした。10月頃からビタミン剤も取り始め、暗さに備えていましたがやはり体験したことのない暗さが毎日続くと疲れをすぐ感じるようになっていました。1月以降はマイナス30度まで寒くなりましたがその後のマイナス10度の日々は、暖かいと感じるようになりました。そんな長い冬の間は氷で凍てついた道を滑らないようにゆっくり歩いていましが、スパイクなしの普段の靴で歩いている人たちをみてやはり長年生活してきた人達はサバイバル力がついているのだなと思いました。雪が積もると一気に雰囲気も変わり、日も長くなり始めるので春へと突っ走るのみという感じでした。
3月にユヴァスヤルビから見えたオーロラ
1月にタンペレを訪れた際の一枚

学習面

講義が日本と違い毎週あるわけでなく曜日や時間も変則的だったため、履修登録の際同じ時間に科目がかぶらないよう自分でスケジュールを調節するのが大変でした。専門科目は基本的にはリーディングがメインの自己学習が中心で、秋学期の最初の頃はリーディングをこなすことに毎週必死でしたが、徐々に慣れていき効率的に課題を進めることができるようになったと思います。英語での留学という意味では履修科目は英語科目ではなく所属していた社会学系が中心でした。それに加えフィンランド語の学習にも取り組んでいました。

フィンランド語は8月のインテンシブサマーコースで基礎は身につけることはできました。そして秋学期のコースでもクラスメートとのディスカッションを中心に徐々に上達することができました。もちろん日常会話をこなすにはまだまだ勉強しないといけないので日本でも少しずつ勉強したいと思っています。

ボランティア活動

履修していた授業の先生がボランティアのコーディネーターだったということがきっかけでKytke projectという活動に参加しました。その中でも多文化主義がテーマである活動が2つあり、フィンランドに来た難民、移民に文化を教えるためのビデオ作成と若者の難民と交流し彼らがフィンランド社会にできるだけ溶け込めるよう手助けをするという活動に取り組みました。秋学期中はビデオ作成のためのミーティングを重ね、春学期から撮影や編集を手伝いました。もう1つの活動は1月から月に2、3回で始まりました。活動時間が少なかったことと共通言語がフィンランド語ということもあり、コミュニケーションがなかなか上手く取れず苦労しました。そこで何か一緒に作る方が交流もしやすいのではないかということで折り紙ワークショップを開きました。つたないフィンランド語でみんなに鶴の折り方をどうにか説明することができました。思っていたより難しいという声が多かったですが、みんな興味津々で取り組んでいたので楽しんでもらえてよかったです。この活動が留学期間内で行えるボランティアの最後となってしまいとても残念でした。短い期間でしたがこの活動の中でトルコから家族とともにフィンランドに移住してきた同じ歳の女の子と出会い、彼女が経験してきたことや将来何がしたいかなど貴重な話を聞けました。そして彼女が私とユヴァスキュラで会えてよかったと言ってくれたことはとても嬉しかったです。

旅行

留学中はニュージーランド留学の際に出会った友達、京都産業大学に交換留学生としてきていた友達、また同じ時期に留学していた友達のみんなとできる限り会えるような旅行プランを組みながら合計で8カ国ほど訪れました。友達にはフィンランド留学前から会いに行くねと言っていたので実際にもう一度会えたときはとても嬉しかったですし、これからも連絡を取り合ってまたどこかで会えればと思っています。また留学中に出会った人々で日本に行きたいという声もたくさん聞いたので、日本で再会することも楽しみにしています。その時までに京都の文化についてもう少し知識を身につけ、しっかりとした案内ができるようになりたいと思っています。

ヘルシンキ大聖堂のライトアップ(1月)
Mannheimでの一枚

まとめ

フィンランドの季節の移り変わりとともに実際に様々な体験ができたことは1年間留学したからこそであり、長期でもう一度留学してよかったと心から思えます。しかしながら1年、特に2016年に入ってからの時間の流れはあっという間でもっと他にできることはないのか、時間の使い方をもう少し工夫したほうがいいのかと悩むこともありました。そんな時にボランティア活動を中心に大学内外で積極的に様々な場での交流を持つよう努力したことが充実した留学生活をおくることに繋がったのではないかと今となっては思います。

これからは留学体験談をより多くの人に伝えていくことで、留学したいと思ってくれる人、特に英語圏だけでなく欧州圏への留学を意識してくれる人が増えたらと思います。大学内でのグローバル化促進のプロジェクトにも関わっており、現在企画進行中の留学帰国報告会を成功させ、より多くの人が海外に興味を持ってもらえるよう取り組んでいきます。

最後になりますが留学にあたって先生方、家族、友達また留学中に出会った方々を含め本当に多くの人々に支えてもらいました。そのおかげで貴重な経験を積むことができ、とても感謝しています。しっかりと恩返しができるよう、さらなる高みを目指して勉学に励みたいです。

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