The Future 大学院からのキャリアステップ

英語教育への情熱と知識・技術に大学院での充実した学びが活きています。

外国語学研究科 英米語学専攻 修士課程2012年度修了

八木 岳彦 樟蔭高等学校 教諭

大阪府にある樟蔭高等学校で、英語の教師として働いています。高校では授業とクラス担任を受け持ち、クラブ顧問も務めています。英語教師としては、自分のクラスを含む5クラスを担当し、「コミュニケーション英語」と「英語演習」の2科目を教えています。「コミュニケーション英語」では使える英語として「聞き取る」「話す」「読む」「書く」の4技能の習得を目指し、「英語演習」では文法を中心に学習して英検準2級取得を目標に、楽しく使える英語の習得を目指したいと考えています。生徒の多くが系列校の大学に内部進学するため、いわゆる詰込み型の受験英語は必要なく、グループによる英語でのプレゼンテーションなども授業に取り入れたいと考えています。教師になって2年目に1年生のクラス担任、翌年は2年生の担任を務めてきました。

多感な時期にある女子ばかりの中高一貫校ですので気を遣いますが、何事にも自主性を持って取り組み、周囲に気配りができるような生徒を育てる方針でクラスを運営しています。生徒の成長を見るのは大きな喜びですし、それがこの仕事のやりがいでもあります。2016年度は3年生のクラス担任。いよいよ最終学年ですが、明るく、楽しく、仲の良いクラスをつくりたいと思っています。部活動は附属中学校のバスケットボール部の顧問を務めています。実戦形式の練習を行い、一つ上のレベルを目指して、生徒たちと一緒に頑張りたいと思っています。

STEP1

ひたすら文献を読み、レポートや論文作成に励みました。

京都産業大学の外国語学部英米語学科から大学院に進学しましたが、学部では教師への道を意識して「英語教育」をテーマに取り組みました。これがきっかけで英語教師を目指すことになりました。大学院を志望したのは、教師になるためにもっと専門的に勉強したいと考えたからです。大学院では大学時代と同じ大和隆介教授の下で「第2外国語習得」をテーマに学習者が母国語以外の言語を習得するプロセスについて研究を深めました。大学院での2年間を振り返ると、ひたすら文献を読み、学会発表に向けてレポートや論文作成に打ち込みました。そして、3度の学会発表の中で、自分の研究についての考えが深まりました。色々な研究者からアドバイスをもらい、他大学の大学院生とも意見交換ができました。また、研究資料の著者と出会い、直接話をする機会もありました。これらは大学院だからこそできた貴重な学びの機会だったと思います。大学院では、気心の知れた仲間たちと切磋琢磨して研究を深め、英語教師としての土台を築くことができました。

STEP2

より効果的に英語を教える理論と実践力が身につきました。

大学院に進む時、大和教授から「外国語系の大学院のほうが英語教師としての専門性が身につく」とアドバイスいただきました。教職大学院という選択肢もあったのですが、英語教育についてより深く学べる外国語系大学院を選んで本当に良かったと思っています。自分の研究テーマである「第2外国語習得」は、学習者の言語修得プロセスを研究するものです。このプロセスを理解することでどう教えたらいいか、どう指導すれば効果的かという理論的な基礎ができました。これは、タスク活動などの新しい指導法の実践につながるものです。教育現場では、英文を読んで文法を解説する文法訳読法などの一方的な教師主導の教育から、生徒に課題を与えてゴールを設定してグループやペアで生徒が主体的に学ぶ授業へと英語の教え方が変化しています。大学院でそうした指導法の理論と実践が身についたと思います。また、大学院では英語教育に関する論文をたくさん読みこなせるようになりました。英語教育研究の最先端の情報に触れることで、教育現場の英語教育をよりよくする力になっていると思います。

STEP3

英語教師としてやっていく自信と余裕ができました。

大学院は、目標に向かって自分自身を鍛える場。大学時代の目標は、大学院に行くことで、英語教師としてやっていく自信ができたように思います。大学院での研究は自分で文献を読み、レポートや論文を書くという地味で根気のいる作業です。難しい課題も多く、英語教師になるという目標がなかったらとても続かなかったと思います。連日夜遅くまで研究室にこもって勉強したのが懐かしい思い出です。大学時代から6年間、英語教育をテーマに一貫して研究できたことも大きかったと思います。特に大学院は少人数で、ほぼマン・ツー・マン態勢で本当に親身に指導していただきました。大学時代から大学院に進んだ仲間と共に同じ英語教員を目指して大学院に進学した仲間がいたため、互いに良い刺激を与え合うことができました。私の理想の教師像は、苦手な生徒に英語を学ぶ楽しさを分かりやすく伝えることです。大学院で学んだことで、授業で無理強いしない心の余裕もできたと思います。

The Message

大学院進学を目指すなら、もうこれ以上勉強できないと思うくらい勉強するぞという意欲を持ってください。そうすれば、進学して後悔することはありません。大学院は、色々なことに興味・関心を持つ学生が研究に取り組むことができる場であり、探究心を駆り立てられる良い出会いがあり、そして、自分自身を成長させてくれる場です。私自身は英語教師という明確な目標がありましたが、そうでない人も大学院でやりたいことが見つかると思います。英米語専攻の仲間には、日本語教師の道を見つけて、今は海外で働いています。人は出会いによって変化し、目標が見つかることもあります。自分自身の、色々な可能性を求めて大学院で学ぶのもいいかもしれません。